ひと晩中、説教をされ
マインドコントロール支配下に

 34歳から、夫の指示により、自らの得意分野を生かしたヘルスケア関連のビジネスを始めた浜口さん。そのころから夫は仕事もしなくなっていったという。

「朝、私を駅まで送っていって、帰りの時間も報告しなければならない。どこに寄り道することも許されず、私が仕事から帰ったなり“今日の気に入らなかったこと”と題してひと晩中、朝まで説教が続きました。もちろん、ときには手も足も出ます。無職で昼間は寝ているわけですから、彼は元気なんですよね」

 その気に入らなかったことといえば、掃除ができていなかった、ご飯が気に入らないといった本当にささいなことであったという。

「自分でももちろん、そんなささいなこと!? なんで私がそこまで言われなくちゃいけないんだと、当然思ってはいます。でもね、ずーっとガミガミ言われていると“とにかくこの時間が終わってくれさえすればいい”という思考になっていくんですよね。だから、ごめんなさい、はいはいわかりました、と。でもやっぱり心から悪いとは思っていないわけなので、その態度がまた主人は気に食わない、それでまた怒るの繰り返し」

 そんな生活が4年ほど続いたある日、全くの偶然で夫婦問題カウンセラーである棚橋美枝子さんに出会い、夫婦問題カウンセラーといった肩書に思わず反応してしまった浜口さん。

 それでも、実際に相談に出向くことはなかった。ただ、女性を相手にお仕事をしているという共通点から、仕事を通じて再び棚橋先生と会う機会が訪れる。

この出会いがなかったら
今ごろは犯罪者だったかも

「当時は、ストレスで眠れない、下痢、食欲不振と身体はボロボロでした。棚橋先生とランチをご一緒していて、私があまりにも食べないので“顔色も悪いし、げっそりして、どうしたん?”と聞いてくれたんです。そこで、初めて夫の話をしてしまいました」

 暴力の話はできなかったものの、やっと、外に思いを吐き出すことができたとき、棚橋先生から「それはモラハラよ」と断言される。

「“あなたは360度どこを見渡しても、朝まで相手に説教されるほど悪くない”と。そう言われてやっと“そうかも”と、心から思い始めたのです」

 それでも、“私にも悪いところが”と思う癖はなかなか抜けなかったという。

「でもある日、私が仕事中で携帯がつながらないことを理由に、ものすごく激怒されたときに“これは私、絶対に悪くない”と心から思ったんです。棚橋先生に相談を続けていたことで、少し強くなっていたんでしょうね」