「オリンピックには魔物がいる」とよく言われます。想像できない番狂わせが起きることから、こんな言われ方をするのでしょうが、こういうプレッシャーの強い環境においては、強い精神力が求められるでしょう。その際に「見られる」ことが好きな性質はプラスに働くのではないでしょうか。観客もしくは国民が自分を見ている、応援してくれると思うからこそ、実力以上の力が出せるのだと思うのです。

結婚後、リョーコは「嫌いな女」1位に

 リョーコは自分を見せる能力にも優れています。多くのアスリートがマスコミの質問に対し、「そうですね」「頑張ります」くらいしか言わないのに対し、彼女は「最高でも金、最低でも金」「田村で金、谷でも金、ママになっても金」というように、スポーツ紙の見出しとして、そのまま使えそうなキャッチコピーを自分で提供していました。“ひとり電通”とでもいいましょうか、自分に注目が集まるように仕向け、「見られる」ことを自分のエネルギーにし、実際に結果を出すという偉業をやってのけるのです。

 しかし、「自分を見せる」もしくは「人に見られる」というのは、塩梅が難しいもの。すべてを見せればいいというわけではなく、「見せない」部分が明確にあるからこそ、「自分を見せる」「人に見られる」部分が生きるのです。芸能人の場合、もともと本人に自己プロデュース能力が備わっていることもありますし、周囲のスタッフに頼ることもできるでしょう。しかし、アスリートの場合はそうはいかず、トゥーマッチになってしまうかもしれません。

 リョーコが現在の夫である元プロ野球選手・谷佳知と交際を始めたときのこと。当時の赤文字系雑誌が推したモテ服・白いワンピースを着て、オリックスのキャンプ地を訪れた彼女をワイドショーは追いかけます。おしゃれして彼氏に会いに行くというのはごくフツウのことですが、「私は幸せです」というアピールはほどほどにしないと、嫌われることになりかねません。しかし、「全国民は私の味方」を信じて結果を出してきたであろうリョーコには、このあたりの細かい感情の機微はわからなかったのでしょう。ちと浮かれすぎでした。

恋人のオリックス・谷佳知外野手のキャンプ地を訪ねる田村亮子(2001年)
恋人のオリックス・谷佳知外野手のキャンプ地を訪ねる田村亮子(2001年)
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 谷との結婚が決まった彼女は、自分でデザインした婚約指輪を披露したり、金メダルにちなんで打掛の色を金にしたなどのリョーコ情報を順次公開していきます。一種の「花嫁ハイ」がよくない印象を植えつけていたのか、参議院議員になった2010年に『週刊文春』が調査した「女が嫌いな女」で、リョーコは1位に輝いてしまいました。なんでも見せればいいというわけではないのです。