ジャニーズの功労者

 川崎は'76年に入所。翌年、14歳で歌手デビューを果たし、榊原郁恵の主演ドラマ『ナッキーはつむじ風』(TBS系)で王子様キャラの先輩を演じるなどした。今でいえば、Sexy Zoneの中島健人のような存在である。

 特にブロマイドの売り上げが抜群で、郷ひろみが去り、たのきんトリオが出現するまでのジャニーズ氷河期を支えた。彼の踏ん張りがなければ、のちのSMAPも嵐もない。それゆえ、事務所も功労者として扱い、アイドルとして失速すると舞台俳優として育てようとした。

 '87年には光GENJIのヒントにもなった英国発のローラースケートミュージカル『スターライトエクスプレス』に新幹線ハシモト役で出演。その2年後にカイヤと出会い、スキャンダル化を防ぐために退所しなければ“ジャニーズの長男”というポジションは近藤真彦ではなく、彼のものだったかもしれない。

 ただ、マッチと同じく、彼にも女性問題でつまずきそうな危うさがある。それこそ、10年ほど前、筆者のSNSで地方在住の女子大生が川崎にナンパされた話を聞かせてくれた。断ったものの、いやな気はしなかったようで、彼はそれなりにイケていたのだろう。

 そんな川崎について、病気のわりに元気だなと皮肉る人もいそうだが、これくらいでないと芸能人は面白くない。まして、彼は10代から色気で食ってきた人だ。

 だとすれば、離婚に続くこの告白も転機にできるのではないか。昨年『レッツゴーヤング』(NHK総合)のサンデーズで一緒だった太川陽介とテレビ東京系のバス旅番組をやったようにバラエティーに活路を見いだすもよし、その第2弾を「舞台の稽古」を理由に断ったように役者を極めるもよし。

 第3の芸能人生に幸あれ、である。

PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。