一方で、過去には、パンダのぬいぐるみを巡ってトラブルが起きたこともある。『ジャイアントパンダの飼育 上野動物園における20年の記録』(東京都恩賜上野動物園編、東京動物園協会、1995年)によると、東京動物園協会が「親子パンダ」のぬいぐるみの製作をサンアンドスター(現在は廃業)に依頼し、1983年7月に発売しようとした。

 だが、上野動物園の前で「パンダ焼き」などを売っていた売店の桜木亭から「パンダの親子のぬいぐるみをすでに販売し、類似意匠登録も済ませている」とのクレームが来た。この意匠権を侵害する商品の販売は困るという趣旨だ。

 双方は法的に争い、桜木亭による親子パンダの意匠登録は無効になった。さらに、「親子パンダ」の名称は、桜木亭よりも先に人形専門店の久月が商標登録を済ませていることが判明。久月が所有する「親子パンダ」の商標権は、サンアンドスターが譲り受けることになった。

「シャンシャン」に関しては、東京動物園協会が商標登録している。それは、シャンシャンの名前をオリジナルグッズに付けられないと困るためで、独占するためではない。条件はあるが、ほかの企業などがシャンシャンの名前を入れたグッズを開発し、上野動物園以外の場所で売ることは可能だ。

 こうしたグッズ販売とは毛色が異なるが、山崎製パンの「ランチパック」や大王製紙の「エリエール」などにシャンシャンの写真が使われたこともある。これらは東京動物園協会が運営する「ジャイアントパンダ保護サポート基金」の協賛事業だ。パンダの保護活動などのために寄付を受け、シャンシャンの写真を貸し出している。

コロナ禍で通販での販売を優先

 そんなさまざまなシャンシャングッズを投入する中、コロナ禍が日本を直撃した。2020年6月12日に迎えたシャンシャンの3歳の誕生日は、上野動物園が新型コロナウイルス禍で約4カ月間の休園中。そのため3歳の記念グッズは、店頭よりも先に公式の通販サイトで発売した。通販を先にしたのは初めてだ。

 通常は、通販よりも店頭販売を優先させている。「上野まで行けないのに……」というクレームも来るが、動物園に足を運び、動物の大きさ、色、鳴き声、匂いなどを感じ、その思い出を商品とともに持ち帰ってもらうことが大切だと考えているためだ。