2018年6月12日、シャンシャンは1歳の誕生日を迎え、東京動物園協会は豆皿や手ぬぐいなどの記念商品を発売した。この1歳の記念商品からは、単なる「パンダ」ではなく、お客さんが見て「シャンシャン」とわかるようにした。シャンシャンのメインのデザイナーは女性2人(このほか、メーカーのデザイナーが手がけることもある)。デザイナーには、シャンシャンの特徴をとらえ、成長具合を加味しながらデザインしてもらった。

 進藤さんが考えるシャンシャンの特徴とは「おでこが少し広い」「目が少し寄っている」「口角が上がっている」「かかとが白い」などだ。幼い頃は「鼻が低い」「(警戒していないので)耳が立ってない」という、子パンダならではの特徴も踏まえて製作した。デザイナーやメーカーには「これはシャンシャンじゃない」「これが安定して作れるの?」などと、何度もやり直してもらったこともある。

写真を使ったスツールボックス、クッション、ブランケット、バッグ、カップ(写真:筆者撮影/東洋経済オンライン)
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 シャンシャンのぬいぐるみは、ほかにも次々と発売された。2020年10月17日発売の「箱入ぬいぐるみ シャンシャン」(1万3200円)のメーカーはサン・アローで日本製だ。

 日本製にしたのは、技術力が高いうえ、言語が同じなので話が通じやすく、回答が早いためだ。ぬいぐるみの高さは約30cm。日本製でなければ、この小ささでシャンシャンの目を表現できなかったという。

 ちなみに、シャンシャンの目の周りの黒い模様は、真ん中の辺りが少しへこんでいる。これをつくるのは、まっすぐ縫うのに比べ、格段に難しい。大型のぬいぐるみなら縫えても、小型だと目の左右で差が出る。シャンシャンの2歳の誕生日(2019年6月12日)に発売したぬいぐるみは、中国で製造したところ、この目をなかなか表現できず、何度も修正が生じた。

コスト高でも、かかとは白

 このように、東京動物園協会がぬいぐるみを作る際は「リアルだけどかわいい」を目指している。ぬいぐるみは、動物の生態や特徴を正しく表現することが最も大切だと考えているが、それだけだと、動物によっては怖くなる。そのため、ほんの少しデフォルメして、かわいらしさを出している。

 かつて、イラストを使ったグッズの中には、パンダが二本足で立つなど擬人化したデザインもあった。だが、パンダはトレーニングなど特別な場合を除き、四本足で過ごす動物だ。現在、動物園のオリジナルグッズは、本来動物が取るポーズに限っている。

 また、初めて製作するぬいぐるみは、必ず飼育係の監修を受ける。シャンシャンの場合、「かかとの白さは絶対に入れてほしい」と飼育係にお願いされたそうだ。黒い足に白い部分を入れると、布をつなぎ合わせる手間が増えてコストも跳ね上がるが、それも実現させた。