「結婚は彼と家族になりたかっただけ」
絵理子さん(仮名/東京都・37)

 冒頭の絵理子さんは同い年の夫と愛犬のテチ(♂)との3人家族。夫婦ともにフルタイム勤務で働き世帯年収は1200万円ほど。

 結婚してちょうど10年目の今年、都内のタワーマンションを購入し、周囲から“次は子どもだね”と言われる日々だという。絵理子さんはそんな周囲の声をかき消すように結婚の理由について話す。

「東日本大震災のときに茨城に出張していた彼と2日間連絡がつかなくなって不安な日々の中、家族だったら何かあったら真っ先に連絡が来るということを痛感して結婚したんです。だから家庭が欲しいとかそういうことよりも彼と家族になりたいという思いが強かったんですよね。結婚当初から子どもを欲しいと思ったことはありません。彼も同じ意見で“ずっと2人で生きていこうね”と誓い合って結婚しました」

 子どもを持たない選択をした理由について、

「子どもがいなくても十分に満たされているんです。それに私と夫の間に子どもが入ってくるのが嫌です。好きな男の子どもを産みたいってよく聞きますけど、私は彼と一緒に過ごしたい。それだけなんです。夫も同じ考えでいてくれて、子どもよりも旅行や共通の趣味のボルダリングに生きがいを感じているのでヨボヨボになるまで2人で山を登りたいって話しているんです」

 しかし周囲は絵理子さんたちを放っておいてくれないという。

「私は3人きょうだいの真ん中で兄も妹も子どもがいるから両親は私に干渉しないでくれます。

 だけど夫は長男で義母は会うたびに『跡継ぎがいないと恥ずかしい』と言います。盆と正月だけしか会わないのでそこを我慢すればいいんですが……。義母のことは好きですし、できるだけ期待に応えたいと思うのですが子どもに関しては譲れません

 絵理子さんは今37歳。出産のタイムリミットを意識することはないのだろうか。

「それ、女友達にもよく聞かれます。これまで1度も欲しいと思ったことはないですし、もしもこの先欲しいと思ったとしても後悔はしません。望んでいない子どもを産んで後悔することのほうが罪だと私は思う。子どもは親の所有物じゃありませんから。早く40代後半になりたいです。そうしたら周囲も子どもについてそっとしておいてくれるでしょうから」