契約の判断基準は上司の主観が大きい

 コロナ禍が襲った2020年は失業率の悪化に伴い、ハローワークでは非正規相談員が大幅に増員され、2万7000人にまで膨れ上がった。

 そのうち数千人から1万人の非正規相談員が上限の3年を迎え、雇い止めになるおそれが高いとして、有志のグループが田村憲久厚生労働大臣に要請書を提出、公募制度の改善を訴えている。国会でも野党議員が議題にあげているが、国は「公募は決まりなので」と繰り返すばかり。解決の糸口は見えてこない。

「同じ非正規のなかでも、1年で契約を切られる人もいれば、再契約を繰り返して、10年以上も働き続けている人もいます。その判断基準はあいまいで、上司の主観が大きいように思います。問題が起きても話し合うのではなく“じゃあ、来年は(契約更新が)ないね”となってしまう」

 と、本間さん。実際、公募後も同じ相談員が採用されることは珍しくない。

「雇い止めされた非正規相談員のうち、ある地方のハローワークでは、9割の非正規が再び採用されていたというデータもあります」

 そう指摘するのは、女性の労働問題に詳しいジャーナリストの竹信三恵子さんだ。大半が再契約されるなら、なぜ3年を上限にして、わざわざ公募にかけるのだろうか?

「財政状況が逼迫する中、国が自由に数を増やしたり減らしたりできて、しかも安く働かせることのできる存在が必要だからです。常勤職員を増やすには、人件費に割く予算が必要になります。一方、非正規職員の定数は各年度の予算に応じて変わるため、非正規を増やせばコストカットできて、数を減らしたくなれば雇い止めにできるうえ、相談業務に必要な一定の人数を確保するという体裁も整えられるわけです」(竹信さん)