娘を改心させるには、夫から引き離すしかない

 ここで莉緒さんは密かに夫に最後のチャンスを与えていました。合格発表はインターネット上で行われたのですが、あらかじめ夫に「これがIDとパスワードだから」とLINEで伝えたのです。夫は指が太く、スマホのフリックが苦手なので、長文を手入力をする場合、書斎のノートパソコンを使います。しかし莉緒さんがチェックしたところ、パソコンの検索履歴の中に、合格発表のURLを見た記録は残っていませんでした。夫は莉緒さんから上から目線で言われたのが気にくわなかったのかもしれませんが、残念ながら、娘さんの進路に興味を示さなかったことが致命傷になりました。

 莉緒さんの我慢はついに限界に達し、堪忍袋の緒が切れたのです。なぜなら、夫は娘さんのことを本気で考えておらず、せいぜい「自分の遊びに付き合ってくれる相手」程度だということが明らかになったから。莉緒さんはストレスで帯状疱疹を発症したようです。

「こんな人でも娘にとっては父親です。娘から父親を取り上げるのはどうかと思い、今まで我慢してきました!」と莉緒さんは涙ながらに訴えますが、夫がするのは娘さんの邪魔ばかり。夫という怠惰でいい加減で、その日のことしか考えない存在がいるから、娘さんは夫の影響を受けてしまう。娘さんを改心させるには、夫から引き離すしかない──もはや莉緒さんにとって夫は「いないほうがいい存在」になっていました。そこで莉緒さんは夫と離婚し、娘さんの親権を持ち、自分ひとりで育てていく決心をしたのです。

 筆者は「遅かれ早かれ結果が同じなら、早いほうが傷が浅い。コロナで旦那さんの本性がわかった今、終止符を打てたのは怪我の功名でしょう」となぐさめました。

コロナ離婚すべきか否かのポイント

 今年3月21日に2回目の宣言が解除され、一息ついたのも束の間。変異株の流行などで感染者数は減るところか増えるばかり。そして4月25日、東京等で3回目の宣言が発令され、また不自由なステイホームに逆戻り。今後は第3波、第4波の「コロナ離婚」が発生することが予想されます。

 莉緒さん夫婦は教育に対する価値観の違いが決定打になりましたが、コロナをきっかけに夫婦間でトラブルが起こった場合、離婚するか否かは一般的に何を目安に考えればいいのでしょうか?

 まず相手が「二度としない」と誓ったのに2度目の嘘をついたのなら、必ず3度目もあります。このまま夫婦を続けても関係は悪化するばかり。「本音は何なの?」「何か隠している?」「約束を守るのか」と疑い出したら終わりです。

 そして、あらゆる情報が不足していた昨年の3月、4月に何をどこまで協力するのか足並みが揃わなかった夫婦の場合、ある程度、情報が浸透してきた今年1月、2月はどうだったでしょうか? 思い出してください。そして3月、4月はどうですか? 相変わらず、配偶者が“人より自分優先”という態度をとっているのなら深刻です。

 コロナが完全に終息するまで何度も同じ問題が繰り返される可能性が高いので、悩み苦しみ続けるくらいなら、夫婦をやめることも選択肢に入れたほうがいいでしょう。


露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)
1980年12月24日生まれ。國學院大學法学部卒。行政書士、ファイナンシャルプランナー。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化して、行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界で最大規模に成長させる。新聞やウェブメディアで執筆多数。著書に『男の離婚ケイカク クソ嫁からは逃げたもん勝ち なる早で! ! ! ! ! 慰謝料・親権・養育費・財産分与・不倫・調停』(主婦と生活社)など。
公式サイト http://www.tuyuki-office.jp/