寺山修司さんが生きていらしたら

「“あなたはテレビのほうに行きなさい”ってことは、言われていたんです」(撮影/近藤陽介)
「“あなたはテレビのほうに行きなさい”ってことは、言われていたんです」(撮影/近藤陽介)
【写真】8月に還暦を迎えるとは思えない高橋さん

 高橋さんの座右の銘は「漂えど沈まず」。パリ市の紋章に描かれたラテン語の標語で、「どんなに揺さぶられ、ふらふら漂っているだけの状態でも、船を沈ませさえしなければまだ復活できる」という意味だ。

沈みそうでも沈まないで、ずっと足をバタつかせながら、急上昇にはならないけど、急降下にもならない、消えないっていう。そういう精神(笑)。ずっと前に、その当時ヘアメイクをしてくださっていた方が、その言葉を教えてくださって。“あ! いいな”と思って、漂えど沈まずの精神でやってきました」

 今までの女優人生で悔いはないか尋ねると──。

47歳で亡くなられた寺山修司さんが、もっと長く生きていらしたら、女優としてどうなっていたのかなというのは、すごく思います。アンダーグランドの舞台の世界のほうに行っていたのかなとか。私がまだ何でもないときに、亡くなってしまったので。

 ただ、“あなたはテレビのほうに行きなさい”ってことは、言われていたんですけど。“この素晴らしいドラマ(『ふぞろいの林檎たち』)に出て、その後やっていけないなら、女優は辞めなさい”って。ドラマが大ヒットして、今に至るんですけどね。寺山さんが開いてくださった女優の道なので、常に“生きていたら、どんなふうに思うかな?”とは思います」

寺山さんとの出会いがなかったら、女優にはなっていないかったですし。天井桟敷の舞台のオーディションで合格したのは、たぶん私がセーラー服だったからだと思うんです(笑)。でもそういうのもね、なんか、すごいご縁だったかなって思います。人生すべてご縁ですよね

(取材・文/井ノ口裕子)

●プロフィール
高橋ひとみ(たかはし・ひとみ)/1961年8月23日、東京都出身。1979年に寺山修司演出の舞台『バルトークの青ひげ公の城』でデビュー。1983年に出演したドラマ『ふぞろいの林檎たち』で注目を集める。現在まで、多くのドラマ・映画・舞台で活躍するほか、バラエティや情報番組に出演するなど幅広く活動。現在、『アウト×デラックス』(フジテレビ系・木曜23時~)レギュラー出演中。『スイッチ!』(東海テレビ)コメンテーターとして隔週金曜に出演。

【ホリプロオフィシャルサイト】https://www.horipro.co.jp/takahashihitomi/
【Instagram】@hitomi_momoe https://www.instagram.com/hitomi_momoe/

●出演情報
水谷千恵子 50周年記念公演
【第1部】お芝居ステージ『ドタバタ笑歌劇 神社にラブソングを』
出演:水谷千恵子
高橋ひとみ、生駒里奈、バッファロー吾郎A
ずん/ハリセンボン/どぶろっく/阿佐ヶ谷姉妹 ※日替わり出演(クワトロキャスト)
YOU/はいだしょうこ ※日替わり出演(ダブルキャスト)
野村将希
武田真治
【第2部】歌のステージ『千恵子オンステージ』
出演:水谷千恵子
八公太郎、倉たけし、六条たかや ※日替わり出演
浜ローズ ※日替わり出演
◎東京公演(明治座):2021年6月4日(金)~13日(日)
〈明治座HP〉https://www.meijiza.co.jp/lineup/2021/06/
◎福岡公演(博多座):2021年6月25日(金)~7月4日(日)
〈博多座HP〉https://www.hakataza.co.jp/lineup/202106/mizutani/