帰宅すると見知らぬ男が

 前出の捜査関係者は、

「廃屋は長く使われていなかった。ホームレスなどが入り込んで、病気などで自然死した可能性は否定できない」

 と話す。

 現場周辺を聞き込み取材すると、こんな話が聞けた。

「竹やぶの中で人が暮らしていた形跡を見たこともあるし、あの廃屋に人が住んでいてもおかしくないよ。食べ物だって多少知識があれば山菜をとるだろうし。野生のハクビシンを捕まえれば肉も食えるしね」(近くの家庭菜園に通う千葉市の60代男性)

 廃屋近くには竹林があってタケノコがとれるほか、ドクダミが野生しているのを確認できた。ハクビシンは家庭菜園の作物を荒らすことがあり、熟れたスイカに手を突っ込んだ痕跡などを残しているという。

敷地への出入口と見られる周囲には高いフェンスとシャッターが取り付けられていた。近くには竹やぶがあり、春にはタケノコが採れそうだ
敷地への出入口と見られる周囲には高いフェンスとシャッターが取り付けられていた。近くには竹やぶがあり、春にはタケノコが採れそうだ
【現場写真】かつて人が生活をしていた痕跡が残る

 さらに気になる情報が……。

 地元の70代男性が振り返る。

もう20年ぐらい前の冬の夜に遺体発見現場近くで中年男性のホームレスを見かけたことがあるんです。このへんでは見かけない顔で、汚れた衣服を着てウロウロしていて、様子を見ていたら道の端っこで横になっていました。警察に通報したらバイクに乗った警察官が来てくれましたが、もういなくなっていたみたいです」

 さらに、同じホームレスかどうかわからないが、そのあと近隣宅の高齢女性が帰宅すると台所に見知らぬ男がいて「何をしているの!」と声をかけると逃げ出したこともあったという。

「このあたりではほかにも、自転車に乗ったホームレスもいましたし、30年ほど前には土手で寝ている太ったホームレスもいました」(同男性)

 複数の周辺住民によると、LED街路灯が普及する前の夜道は「正面から鼻をつままれても相手がだれだかわからない」ほど真っ暗だったというこの一帯。人目を忍んで生活するには適していたかもしれないが、周辺に残飯を出すような飲食店などはないため衣・食・住の「食」には圧倒的に事欠いたはずだ。