「どこかで『妹をそういうことをしてかまわない存在』と思わせるとんでもなくまちがった知識を得てしまってるんじゃないかと思うんだけど。どこなの? ネット? ネット以前の時代から、多かったのかどうか?」

 冒頭のツイートに続き、筆者が問いかけたところ、これにも多くの反響がありました。ネットに出まわっている動画や漫画、あるいは小説などの影響が大きいとする声。家族内の性暴力は昔から大量にあって、ネットの普及でようやく表に出ただけだとする声。どれも「そうかもしれない」と感じます。

私たちにできることは何か

 何が原因だとしても、さらなる被害を食い止めなければならないことは間違いありません。寄せられたコメントなどを参考に、できることを考えてみました。

 まずは周囲の大人が、それは「起き得ることだ」と想定すること。「あるわけがない」ではなく、年ごろになったら、子どもたちの寝る場所を分ける配慮も必要でしょう。部屋数がなくても、仕切りを置くくらいのことはできます。

 それを「やっていい」と思わせるような情報を、子どもの目に触れさせないことも必要でしょう。以前あるバラエティー番組で、男性芸人が姉の入浴の盗撮を試みたことを明かし、他の芸人たちが爆笑する様子が放映されましたが、気が遠くなりました。見た側は「家庭内の盗撮は笑い話」と受け取らざるを得ません。

 もし性暴力が起きてしまったときは、「許されないこと」と周囲がはっきり伝えることも重要でしょう。ある女性は、小学生のときに兄から風呂を覗かれて叫んだところ、兄は父、祖父、祖母から激しく怒られて号泣したそう。彼が同じ過ちを繰り返すことは、おそらくなさそうです。

 やりきれないことですが、娘が兄や父親から性暴力を受けても気付かないふりをする、あるいは「よくある」などとして放置する母親も、珍しくありません。

 おそらく母親自身も、過去になんらかの形で強者からの暴力を受け入れ、「仕方がないこと」と自分の心を殺してきたのでしょうが、同様の考えで娘の被害を「なかったこと」にするのは、許されないことです。

 被害者となり得る子どものためにも、加害者となり得る子どものためにも、そんなことが起きないよう、周囲の大人が十分考えたほうがよさそうです。なお、加害する子どもに障害がある場合は、専門医に相談を。

大塚玲子(おおつか・れいこ)
「いろんな家族の形」や「PTA」などの保護者組織を多く取材・執筆。出版社、編集プロダクションを経て、現在はノンフィクションライターとして活動。そのほか、講演、TV・ラジオ等メディア出演も。多様な家族の形を見つめる著書『ルポ 定形外家族 わたしの家は「ふつう」じゃない』(SB新書)、『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』(ともに太郎次郎社エディタス)など多数出版。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。