本来、学校で学ぶべきことは、そういうことではありません。

 社会で生きていくために必要なのは、なんらかの目的に対し「今自分には何が必要で、そのためには何をすればいいのか?」を自力で思考して行動できる力です。

 言い換えれば、問題にぶち当たったときにそれを解決できる能力です。

「これができないんだけど、なんでできないんだろう?」という疑問をもち、その原因を追求する。「わからない勉強のやり方を人に聞く」というのは、優秀な人や知識のある人から「思考のプロセス」を学ぶことでもあるのですね。

 残酷な現実を言うと、思考のプロセスをもっていない人は、社会に出ても「人に使われる仕事」にしか就くことができません。そういった仕事は給料が安いうえに、理不尽にコキ使われたりします。

 英語で言うところの「ブルシット・ジョブ(=クソどうでもいい仕事)」をやりたくなければ、自分のアタマで思考する能力は必須なのです。

 そして、その思考のプロセス、つまりアタマの使い方こそ、学校で学んでおくべきことなのです。

「アタマもいいケーキ屋さん」になろう

「でも、自分はアタマを使うことよりも、身体や手を動かしているほうが好き」という人も多いと思います。

 たとえば「ケーキをつくるのが大好き」という人は、手に職をつけてとびきりおいしいケーキをつくり続ければいい。そうやってパティシエとして暮らしている人も大勢います。

 でも、「一日中ケーキにイチゴを乗せ続ける」というようなベルトコンベアの一部みたいな単純労働に従事しているならまだしも、腕のいい職人が、アタマをいっさい使わなくていい、なんていうシチュエーションに置かれることはまずありません。

 美味しいケーキをつくるためにはクリエイティブな試行錯誤が必要ですし、せっかく上等なケーキをつくることができても、買ってもらえなければ生活していけません。

「どんなコンセプトのケーキを、どんな客層に届けていきたいのか」といった創意工夫こそ、実は職人の仕事に必要なことだったりするのです。

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 さらに言えば、職人の仕事は肉体的な負担も大きいので、選択肢として肉体労働と頭脳労働のどちらもできるようにしておいたほうがおトクです。

「頭脳労働ができるけど、ケーキもつくれる」という人と「頭脳労働はできないけど、ケーキはつくれる」という人がいた場合、後者はなんらかの理由でケーキがつくれなくなってしまった瞬間に仕事がなくなります。

 こういうシチュエーションを回避するためにも、基礎学力や学ぶプロセスを身につけて、頭脳労働もできるようにしておいたほうがいい。

 前述のとおり、ほとんどの学校では、先生はタダで勉強のやり方を教えてくれますし、質問にも何度でも答えてくれます。

 せっかくタダで教えてもらえるチャンスがあるのだから、学校では疑問に思ったことは遠慮せずどんどん聞くべきなのです。


ひろゆき Hiroyuki  元2ちゃんねる管理人
本名・西村博之。1976年神奈川県生まれ。中央大卒。1999年にインターネット匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。東京プラス代表取締役、未来検索ブラジル取締役など、多くの企業に携わり、企画立案やサービス運営、プログラマーとして活躍。2005年、ニワンゴ取締役管理人に就任。翌年、「ニコニコ動画」を開始。2009年に2ちゃんねるを譲渡後、2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。