2曲を作詞、ハッピーでポジティブに

 表題曲『You are you』は、氷川自身が“kii”の名義で作詞を手がけている。

「詞を書こうと思ったときに、パッとひらめいたのが“あなたはあなた”。『You are you』という曲を出している人はいなかったから。とにかくもう、思ったまま詞を書きつづって。(本名から取った)“清らかな志”なんて遊び心あるフレーズも入れて。最後は清らかに、ナチュラルに生きよう、と結びました。

 “あなたはあなただよ”“あなたの命がいちばん尊いんだからね”と。とにかくハッピーでポジティブな思いをこの曲で届けたくて」

 自らが紡いだ言葉による、新たなるアプローチ。

「やっぱり人に感謝して、人を幸せにしていこうという思いでしか、道は拓けないから。自分自身のことも重ね合わせながら、悩み苦しんでいる人たちに対してのメッセージを書きつづりました」

氷川きよし 撮影/廣瀬靖士 
氷川きよし 撮影/廣瀬靖士 
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 多忙な日々の中で、どんなときに、どうやって作詞をしているのかと尋ねると、

「思いついたときに、ケータイで。この間も(愛犬の)ミルクちゃん&ラテちゃんの散歩を夜10時くらいにしていたんですが、五輪期間だったからどの家も灯りがついて、ワーッと盛り上がっていて。“なんで自分はひとりなのかな?”という気持ちになり、それを詞にしました」

 なんだか、少し切ない……。

家族団らんへの憧れは強くて。小さいときは、いつもひとりでご飯を食べていたから。父はタクシー運転手でしたし、母も働いていたときがあったので。ひとりは慣れているんですけど、やっぱり40歳を過ぎると寂しくなりますね。

 だから、ミルクちゃん&ラテちゃんがいることだけでも、ありがたいなと思っていて。もう、可愛くて仕方ない(笑)。

 そしてやっぱりステージに立ち、人前に出て歌って喜ばれたときはすごくうれしい。やっぱりここが居場所なんだな、と思います」