2013年の朝ドラ『あまちゃん』の好演、その後も宮藤官九郎や福田雄一のコメディードラマで「言いたい放題でサバけてるが、なんだかカワイイおばちゃん」という安定の立ち位置を築き上げた小泉今日子。長年のイメージとしては「大御所・大物・巨大権力の寵愛を一身に受け、結果を出し続けてきた女」、そして「クリエイターやアーティストからも愛され、セルフブランディングに成功した女」だ。

事務所からの独立に堂々不倫宣言

 なにせ彼女は芸能生活が長い。なんでもありの狂乱の昭和から、萎縮と縮小の平成、そして崩壊と転換の令和と駆け抜けてきたわけで、「いろいろとありましたねぇ……」と目を細めて思い出すわけだ。それでも、本人もとても充実した芸能人生を送っていると思っていたし、このままずっと陽の当たる場所を歩き続けるのだろうと思っていた。

 2015年に制作会社明後日を立ち上げたときも、やりたいことのひとつ・プロデュース業に手を出しただけで、立ち位置も大枠も変わらないと踏んでいた。ところが、2018年に超強権大手事務所から独立したと聞いて、正直驚いた。さらには、俳優の豊原功補とのパートナーシップを公に発表し、堂々不倫宣言と報道された。あのキョンキョンがとうとう干される時代になったのか……と思った。

小泉今日子との関係について記者会見を開く豊原功補(2018年2月)

 思ったけれど、つるし上げにあったのはどちらかといえば豊原のほうだ。あの仕掛けはよくわからんが、豊原が記者会見を行い、自らの不貞行為の解説をさせられるという地獄。え、キョンキョンじゃなくて豊原が?

 正直に言えば、その地獄の中でも役者・豊原功補がダダ洩れしていて、ちょっと色っぽかった。古畑任三郎のようなポーズで手を顎に当てて質問に答えたりしてね。どちらかというと、口語調というよりは文語調の言葉選びが目立った。

「わぁ……なんとなくめんどくせー役者論を一晩中語るタイプだろうなー」と密かに思いながらも、離婚に関しては夫婦と家族の問題というスタンスを崩さなかった豊原、私の中では株が爆上がりだったけどなぁ……。

 会見の最後のほうに「小泉今日子はどんな人か」と聞かれて、「天然記念物。面白い人です」と答えた豊原。もう恋人とか愛する人とか世間が想像する関係性ではなくて、朋輩とか戦友とか無二という言葉を想像しちゃったよ。

 おっと、キョンキョンに話を戻そう。

 小泉今日子を役者として好きかと問われたら、口角泡飛ばして語れるほど好きなわけではない、と答える。ただ、ゆくゆくは加賀まりこのような存在の女優になるだろう、図太さと可愛らしさの共存を長いスパンで眺めていこう、と思っていた。

 今年の頭には久々にドラマに出ていた。WOWOWのオリジナルドラマ『川のほとりで』の第2話に出演。虚言癖のホームレス・ペマ子の役。川のほとりでのんびり暮らしているホームレスのおじさんたち(ベンガルと綾田俊樹)のもとに転がり込んできて、自分は「とある国の王族で、王家の隠し財産を巡って、国際的組織に命を狙われている」とうそぶく。役所の福祉課の職員・佐藤(山内圭哉)を殺し屋だと言い張り、川っぺりで微妙なアクションシーンもこなした。

 ホームレス役なので、垢じみたすっぴんにバッサバサの髪、そしてボロボロの薄汚れた服(かわいさは残してある)。最後はボートを漕いで、歌いながら川を流れてゆく……という話だった。後日談で「横浜あたりで保護されてホームレスシェルターにいるが、どうせまた逃げ出すだろう」とされている。

 要するに、何にも縛られない、とにかく自由な女の役だった。キョンキョンはとても楽しそうだった。ここ数年のドラマの中でも一番いきいきしていたような気がした。