相次ぐ韓国ドラマのリメイク。その裏ではいったい何が起きているのか。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

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 6日に『週刊女性PRIME』が報じた「竹内涼真『梨泰院クラス』リメイク主演内定も、つきまとう“乗り換え婚”のイメージ」に、多くのメディアや個人のSNSが反応した。ただ、その大半は「竹内涼真の主演内定」ではなく、「『梨泰院クラス』のリメイク」に対するものであり、韓国ドラマのリメイクへの是非が飛び交っている。

 韓国ドラマのリメイクは現在も、『彼女はキレイだった』(関西テレビ・フジテレビ系)と『ボイスII 110緊急指令室』(日本テレビ系)が放送中。この5年間だけでも、『知ってるワイフ』(フジテレビ系)、『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)、『TWO WEEKS』(関西テレビ・フジテレビ系)、『サイン―法医学者 柚木貴志の事件―』(テレビ朝日系)、『グッド・ドクター』(フジテレビ系)、『シグナル 長期未解決事件捜査班』(関西テレビ・フジテレビ系)、『ごめん、愛してる』(TBS系)など、韓国ドラマや映画のリメイクが放送されてきた。

 ところがこの中でヒット作と呼ばれたものは『グッド・ドクター』くらいであり、低視聴率と低評価に終わるものが多い。また、冒頭に挙げた『梨泰院クラス』のリメイクに対する反応も、そのほとんどが厳しいものだった。

 なぜ視聴率も評価も得られづらい韓国ドラマのリメイク作が制作され続けているのか。これまでの取材経験をもとに読み解いていく。

オリジナルよりリメイクに走る理由

 韓国ドラマが日本版リメイクされる理由は1つではないが、真っ先に挙げられるのは、「プロデューサーがほれ込んだ」から。他の小説や漫画よりも「この韓国ドラマの日本版リメイクを放送したい」という気持ちが勝ったからこそ、わざわざ隣国の作品を扱っているのだ。また、ほれ込んでいる分、「ここからインスパイアされたオリジナルを作るより、リメイクのほうがいいだろう」という結論に至りやすい。

 これは裏を返せば、「プロデューサーたちがオリジナルを作ることの難しさを感じている」「この韓国ドラマ以上のオリジナルを作る自信が持てない」からとも言える。さらに、本人の力量だけでなく、それを後押しできない自局の体制にも問題があるのは間違いない。

 もともと海をはさんだ隣国である日本と韓国は、文化、社会背景、嗜好、外見などの面で、欧米よりも似ている点が多く、リメイクのギャップや手間が少ない。そのため韓国ドラマの中から、現在日本でニーズのある事件、医療、サスペンス、ラブコメの作品が選ばれるケースが目立っている。

 韓国ドラマのリメイクに厳しい声が多いのは、「それだけオリジナルへの愛情が深いファンがいるから」にほかならない。また、そのファンたちは、日本より倍以上の放送話数があるほか、海外販売を積極的に狙う韓国ドラマを「スケールが大きい」とみなし、相対的に「日本のドラマはダメ」と判断されがちだ。さらに現在はコロナ禍での減収や撮影の制約もあり、ますますスケールの点でリメイクは分が悪くなっている。

 そしてもう1つ、必ずと言っていいほど引き合いに出されるのが俳優の演技力。日本版のリメイクは「事務所の力やアイドルなど人気優先のキャスティング」と揶揄されることが多く、そこから抜け出せないことがファンの反発につながっている。実際、キャストが発表されるたびにオリジナルと比較されて酷評を受けるケースが目立ち、俳優たちの負担になっているのは間違いない。

 オリジナルに踏み切れないプロデューサー、スケールの縮小、人気優先のキャスティング。この3点が韓国ドラマリメイクにおける深刻な問題点であり、厳しい評価を受けてしまう理由だろう。