遭難は「人を選ばず、時を選ばず、山を選ばず」

(6)救助隊機能を低下させない

コロナ禍の外出自粛で体力が落ちたまま登山。疲労でケガをしたり、救助を求めるケースも
コロナ禍の外出自粛で体力が落ちたまま登山。疲労でケガをしたり、救助を求めるケースも
【写真】実はキケン!? 侮ってはいけない高尾山の登山コース

「低山ではないですが、槍ヶ岳で8人パーティーが遭難。1人が滑落し、亡くなった事故がありました」

 実は滑落をした人が新型コロナに罹患、無症状だった。

「パーティー全員と救助隊、ヘリコプターの救助隊も濃厚接触者になりました。そうなるとその数人は何日間かの救助活動はできないので、ほかの隊員たちに負荷がかかるんです」

 ワクチンを打ったから、と登山をする人も増えているというが、山中で副反応で動けなくなった人もいた。

「この時期、山に行くこと自体がリスクになるんです」

 コロナではなくても、体調が悪い状態で山に登ることはそもそものNG行動だ。

(7)動物に遭遇する危険

 クマやシカが登山道に現れることもある。

シカは大声を出せば逃げていきます。ですが、問題はクマです。絶対に近づかないようにしてください

 心がけや事前の準備で遭難や事故のリスクは減らせる。

「私たちは“3ず”という言葉を使っています。遭難は“人を選ばず”“時を選ばず”“山を選ばず”。高い山だから危険で低い山なら安全というわけではない。そうした意識が根底にあるから事故が起こります。

 山はとても魅力的ですごく楽しいんですが、危険も多いんです。気軽に訪れられる場所であってもリスクがあることを知っていただきたい」

※イラストはイメージです
※イラストはイメージです

●登山に行く前に~

□登山計画書の提出、もしくは行き先、帰る時間を書いた紙を家族や職場に残しておく(メールなどで送っても可)
□体調を整えておく
□十分な睡眠をとる
□前日、当日は炭水化物中心の食事を
□前日は生ものは絶対に食べない

●絶対に必要な装備品

□底が滑りにくい靴と替えの靴紐
□雨具(レインウエア)
□ヘッドランプと予備の電池
□防寒具
□水分
□登山地図やGPSなどのアプリを入れてあるスマートフォンと充電器
□非常食(カロリーが高く日持ちするもの)
□薬類(ばんそうこう、消毒液や鎮痛剤など)
□健康保険証のコピー