ジャニーズ事務所の会社運営面を担っていた元名誉会長のメリー喜多川さん(享年93)が8月に逝去してから1か月が過ぎた。60周年を来年に控え、同事務所は新時代に入った。

 現在、同事務所の運営の中心にいるのはメリーさんの長女の藤島ジュリー景子社長(55)と滝沢秀明副社長(39)、古参の副社長の3人だが、メリーさん逝去前と表面上の変化は見られない。

 昨年から今年前半にかけての退所ラッシュは一段落し、一方でKing&Prince、SixTONES、Snow Manら若手グループが大活躍している。

 そもそも、同事務所は約2年前からこの3人が取り仕切っていたのだ。メリーさんは昨年9月に代表権のある会長から名誉会長に退く前から、高齢者特有の病気を患い、実務に携われる状態ではなかった。

「だから昨年11月に近藤真彦さんが不倫問題で無期限活動自粛に入った際、一部で報じられた『最後は近藤を寵愛するメリーさんが助ける』という説はあり得ないものだった。近藤さんは4月に退所しましたが、これにもメリーさんはタッチしていない」(芸能プロダクション幹部)

滝沢秀明副社長
滝沢秀明副社長

滝沢副社長が抱える問題点

 当時、「滝沢氏は新人の発掘と育成しかやっていない」という報道もあった。これも芸能プロ幹部は言下に否定する。

「クリエイティブなことは全面的に見ているし、会社運営にも関与している。もう1人の副社長は広報と宣伝のエキスパートですから」(芸能プロダクション幹部)

 滝沢氏は仕事が限定されているどころか、ほかの芸能プロから「オーバーワークではないか」と見られるほど役割が多い。2019年、タレントから経営者側に転身したため、補佐役のスタッフがいないことも背景にはある。

 滝沢氏の右腕の不在。目下のところ、これが同事務所の水面下での一番の問題点として挙げられる。

 2年前に他界した元社長のジャニー喜多川さん(享年87)とメリーさんには同事務所顧問のK氏(73)という凄腕の補佐役がいた。

 山下達郎(68)の育ての親のような存在でもあり、近藤真彦の『ハイティーン・ブギ』(1982年)を山下が作曲したのもK氏がいたから。KinKi Kidsの『硝子の少年』(1997年)なども同じ構図だ。

 K氏が補佐したのは音楽面だけではない。1989年、中森明菜(56)が近藤の自宅で手首を切り、騒動となると、その沈静化に向けて奔走した。この件に限らず、同事務所のトラブルシューター的な存在でもあった。

 K氏のような存在は今の同事務所内には見当たらない。近藤の不倫と4月の退所問題はジュリーさんと滝沢氏ともう1人の副社長が中心となって対応策が練られた。滝沢氏の場合、タレント管理の経験が短く、しかも相手は先輩だから、苦痛だったのではないか。

 人柄がいいことで先輩にも後輩にも好かれた滝沢氏だが、今後は同事務所を守るために汚れ役や嫌われ役もやらなくてはならない。やはり補佐役が求められるだろう。