容疑者と被害者の家は“ポツンと2軒”

 お隣さんだった被害者と容疑者の間にいったい何が起きて、こんなむごたらしい事件に至ったのだろうか──。

 2人の自宅は、桃畑が広がる中に“ポツンと2軒”、並ぶようにして立っている。

「昔は、あそこもやっぱり桃畑だったのよ。あるとき、その畑が2つに分けて売りに出された。それでまず、17年ぐらい前に古屋さんが一軒家を建てて引っ越してきてね。山口さんのところは最初、彼の父親が土地を買ってあそこに自動車修理工場を作ったんです。そのあと、息子である正司さんが一軒家を建てました」(別の近所の主婦)

 引っ越してきた当時、古屋さん一家は、高齢者施設に勤務する夫、娘2人の4人暮らし。山口容疑者は介護士の妻、息子3人の5人暮らしだったという。

古屋さんの長女と、山口さんの長男が、地元の学校の同級生だったようです。特別に親しい付き合いをしているわけではなかったみたいだけど、それなりに良好な関係だったと思いますよ。まあ、両家とも共働きの家族だったから、頻繁に会うこともなかったんだろうね」(同・別の近所の主婦)

 そんな中、10年くらい前に古屋さん一家を悲しい出来事が襲う。

「確か中学生のときだったか、古屋さんの長女が不幸な亡くなり方をしてね……。美紀さんは地元の社会福祉協議会に勤務していたんだけど、ショックで仕事を辞めていた。今は立ち直って、甲州市社会福祉協議会に勤務していました」(古屋さんの知人)

 被害者となった古屋美紀さんの人柄について、彼女の知人はこう話す。

「明るくて、穏やかな人でしたよ。地域の集まりにもきちんと来るし、地域に溶け込んで好かれていましたね」

 古屋さんの同僚も、好印象だったと口をそろえる。

「彼女の担当は、生活困窮者の支援でした。生活保護の相談を受ける際、たとえトラブルが起きても、感情的にならず穏やかに話ができる人」(甲州市社会福祉協議会の職員)

被害者宅前には、遺族から報道関係者に向けたメッセージが
【写真】生前の古屋さんの人柄を伝える、遺族が書いた悲痛なメッセージ

 一方の山口容疑者は、

「観光バスの運転手をしていて、住民が集まる新年会でカラオケを歌ったり、公民館の掃除をやったりと、地域になじんでいましたよ」(前出・近所の住民)

 だが、2年前に容疑者はこの会社を辞めている。

「仕事にあぶれてしまったのか、プラプラしていた時期もあったようです。今はどんな仕事に就いていたのかもわからない」(同・近所の住民)

 その後、周辺の住民への聞き込みを続けるも、両家がもめているといった話はいっさい出てこなかった。真相は藪の中だが、

「あの古屋さんが、ご近所トラブルを起こすとは到底思えません。あくまで個人的な意見ですが、私は容疑者の一方的な犯行だと思っています」(前出・古屋さんの知人)

 “親ガチャ”という言葉が話題だ。何が出てくるのかは運次第のカプセルトイのように、どんな親や境遇の下に生まれるかは選べないという意味だ。隣人もまた然り。そのご近所さん、凶暴につき──。