うのはね、かわいいおばあちゃんになりたいの。こういう映画に出たいとか、こういうアルバムを作りたいとかっていう夢はない。うのはうのだから」(『志村XYZ』フジテレビ系)

 当時22歳。こういう不思議ちゃんなところが、古舘伊知郎や島田紳助といったオヤジ系の大物にウケた。また、世間の中高年女性たちもイライラしつつ注目してしまう。こうして「生意気な小娘というキャラ」が一種の芸として成立したわけだ。

 しかし、この芸は「小娘」でなくなるにつれ、通用しなくなる。そこで切り替えが必要なのだが、彼女は大物実業家と結婚。趣味でもあるという結婚式を国内外で9回も挙げるようなお姫様モードの人生を送り続けた。

 そんななかでの2度の盗難騒動。結局、ワキの甘いお姫様気分なんだ、とあきれた人も少なくなかったのだろう。

 それにしても、彼女が夢だと語った「かわいいおばあちゃん」とは何か。ふと連想したのが、デヴィ夫人。こちらも偶然だが、事務所スタッフに大金を横領されたりしている。

 が、夫人にかわいいイメージがあるとすれば、バラエティーで身体を張り、笑いを提供しているところが大きい。うのにそういうことができるとは考えにくいのだ。

 この先、3度目の盗難なんてことになればますます笑えないし、こんなことでしか話題にならないのもつらい。将来「かわいそうなおばあちゃん」にならないよう、気をつけたほうがよさそうだ。

PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)