ほかにも被害は限りない。

「女性のバイトを雇っていると、その子を撮ろうとする人は多い。こちらも張り紙などで注意喚起していますが、基本的に調理中なので、すべてを監視できるわけではなくて。それで女性のバイトが辞めたり、働き手が足りなくなる遠因になるケースは、少なくないと思いますね」

“美味い”“まずい”は、極々個人的感想だろう。今回、複数のラーメン店主を取材するうえで、“味の感想”については、ラオタのレビューに文句をつける者はいなかった。しかし……。

ラオタからの“ギトギトした”質問

「そもそもウソを投稿されることが少なくないんですよ。店の衛生問題系とか。“店頭に置いてあるダンボールを触って、そのまま調理してた”“麺揚げのザルを床に落として、そのまま使ってた”とか。断固として言えますが、そんなことは一切していないのに」

 そして、店主たちをさらに苦しませるのが、無駄な“取材”と安易なアドバイスだ。

「どんな材料を使っているのか、こんなふうにしたらどうかと話しかけてくる人は多いですね……。うちの店はSNSをやっていないのですが、直接電話でそれについて文句言われたりしますからね(苦笑)。“きちんと情報発信したほうがいい”“そういうところがよくない”とかって。そういうところってどういうところだよって(笑)」

 ここで日本最大のグルメレビューサイト『食べログ』に投稿されたラーメンに関するレビューを紹介する。千葉県にあるラーメン店。

 こちらを訪れたのは、食べログでラーメンを中心に1000件ほどのレビューを投稿するラオタだ(《 》内、すべてレビューの引用)。投稿主はラオタとして“取材”を信条としている。ここから彼の取材が始まる(以降、○はアカウント名の頭文字)。

元AKBの梅澤愛優香の画像と彼女が投稿した告発文(いずれもTwitterより)
元AKBの梅澤愛優香の画像と彼女が投稿した告発文(いずれもTwitterより)
【写真】ラオタたちが“基準不明”の採点を日々綴っているレビューサイト

《○「煮干しは鰯ですか?出汁をとる際に頭と腸は取っていますか」》

 このような形で5問ほどラオタは店主を問い詰める。そしてさすがに店主はしびれを切らす。

《(質問を続けていた)○「それから…」》
《店「いや~お客さん。そんなに根掘り葉掘り聞かれるのは好きじゃないんで」》

 矢継ぎ早にラオタ質問をくり返した投稿主は、めげずに問いかける。