――海外でのキャリアアップを目指しているなかで、新たに取り入れた自己投資はありますか?

 やっぱり語学ですね。細かい気持ちのニュアンスを伝えるにはどうしたらいいのだろうか悩みました。その逆も然りで、どうすれば相手の言葉をもっと深く、ニュアンスまで理解できるのかを課題に感じています。それを克服できれば情報量が2倍になるじゃないですか。2カ国語が話せたら、2つの言語から情報を吸収できる。3カ国語できたら3倍になる。語学って深くて面白いし、自分の可能性を広げてくれるものだなと思いますね。

カルチャーの壁を越えて、世界に作品を届けるために

――俳優やアーティストなど「表現者」としてのこだわりはなんですか?

 表現者という枠に限らず、いろいろな経験をしていきたい。海外に出てアクティブに活動するこで得られる経験も大切ですが、読書や勉強からインプットできる知識も貪欲に取り入れたい。そうした学びの作業を継続していくことが大事だと僕は思います。

 音楽活動も同様です。そこで得た刺激やストレスが、俳優業に生きることだってある。新しい世界を体感するには、学び続けるしかないんでしょうね。

写真:(c)Maciej Kucia、講談社/東洋経済オンライン
写真:(c)Maciej Kucia、講談社/東洋経済オンライン
【写真】05年『ドラゴン桜』時代の山下智久

――Netflixによる、大ヒット韓国映画のリメイク作『恋に落ちた家』に主演するニュースが日本で話題になっています。全世界に配信予定ですが、心構えなど山下さんの中で変化はありますか?

 全然変わらないです。大事なのは、チームが現場で何が一番面白いと思うかを議論していくこと。ストーリーに沿った面白い状況はどうすれば作れるか、不自然なところなどを議論して改善する必要がある。

 カルチャーの壁はありますが、人として、お互い感じていることをぶつけ合うことでそれは越えられると思う。「世界に届けよう」という思いを根底に持つのは、慣れないことなので難しいですけどね。

――山下さんは、日本の作品を世界に届けるような役割も担っていくと思います。海外で愛される日本の作品が少ない現状について、どう思いますか?

 日本には、ドメスティックな作品が多い。そこを切り分けて制作してもいいのかもしれません。たとえば、作品ごとに海外で受けるようにアレンジしていくとか。

 アジアの珍しい発酵食品も慣れたら美味しく感じるけど、最初は口に入れるのも一苦労じゃないですか。作品も同じで、日本の文化が強い作品はなかなか理解されづらい

 映画『ラストサムライ』だって、日本にしかないカルチャーと物語のバランスが取れていたから、世界中で受け入れられたのだと思います。だから、方法は絶対にあると思います。ようやく日本の映像業界もグローバル化を意識し始めたので、ここからの成長を期待したいし、自分も頑張りたいと思います。