震度4を超える地震が昨年から頻発。今年は「何もない」ことを祈るが、対策するに越したことはない。大きな備えに腰が重いなら、身近で、できることから手をつけよう。うってつけが100均グッズ。使い方次第では大きな安心へとつながる。

震度6弱を記録した2018年の大阪府北部地震で被災した直後の写真。左が同じマンションのお隣さんの家のキッチン。右がこまめな防災対策をしていた国際災害レスキューナースの辻直美さんの家のキッチン
震度6弱を記録した2018年の大阪府北部地震で被災した直後の写真。左が同じマンションのお隣さんの家のキッチン。右がこまめな防災対策をしていた国際災害レスキューナースの辻直美さんの家のキッチン
【画像】100均グッズなどを使った具体的な防災対策

防災=日常の暮らしの質を上げる

“防災準備=防災グッズを買いそろえること”と思っている人が多く、実際にはそれの、使い方がわからないというケースがよくあるんです

 と話すのは、国際災害レスキューナースの辻直美さん。いざというときに使えなくては何の意味もない。

防災を特別なものとして考えるのではなく、日常の延長線上にあるものとしてとらえてください。普段からやっていないことは絶対にできないし、災害はいつくるかわからないからです。

 日ごろから部屋をきれいに片づけておくこと。節水や節約をすること。非常食を普段使いにして、切らさず買い足すなど。“防災=暮らしの質を上げること”と思って、防災対策をしてほしいですね」

 日常の延長線上であるからこそ、まずは「今あるもので何とかする!」という発想を持つことが大事。

 わざわざお金をかけて防災グッズを買わなくても、100均で十分に対策できるものもあるという。

 各部屋ごとの見直したいポイント、今すぐできる防災のコツを教えてもらった。

凶器が潜む【キッチン】は今すぐ対策が必須

 キッチンには包丁やハサミ、食器など、落下すると凶器となるアイテムがたくさん。災害時はいちばん危険な場所になる。

「足をケガしたら逃げられないので、物が落ちてこない、飛んでこないように対策をすることがとても大事。キッチンラックの収納では、上は軽いものを、下は重いものや割れ物を置きましょう。家電の下に敷く滑り止め耐震マットや、キャスター付きラックのストッパーなどは100均にあります」

 つり戸棚には、揺れを感知すると扉を開かなくする耐震ラッチや引き戸ストッパーを取り付けて。プラスチックではなく金属でしっかり補強したい場合はホームセンターなどで購入するのがオススメだ。

食器を引き出し収納するのが安全だが、ない場合は取っ手のついたプラスチックケースに滑り止めシートを貼った“食器収納ケース”に入れるのが得策。取っ手がついているのでお皿をサッと取り出せて日常生活でも便利。特別なこだわりがないなら、日ごろから割れにくい食器を使うのも有効です」

対策あり! 震度6弱を記録した2018年の大阪府北部地震で被災した直後の辻さんの家のキッチン。こまめな防災対策により、調味料のボトルが4本倒れただけだった
対策あり! 震度6弱を記録した2018年の大阪府北部地震で被災した直後の辻さんの家のキッチン。こまめな防災対策により、調味料のボトルが4本倒れただけだった
対策なし! 辻さんと同じマンションのお隣さんの家のキッチン。落下対策をしていない棚から食器がすべて落ち、床が破片で埋め尽くされ危険な状態に
対策なし! 辻さんと同じマンションのお隣さんの家のキッチン。落下対策をしていない棚から食器がすべて落ち、床が破片で埋め尽くされ危険な状態に
キッチンラックの上の段には軽いものを。炊飯器など家電の下には滑り止め耐震マットを敷く。下の段には割れ物を収納するほか、重いものを置くと重心が安定して倒れにくくなる効果も。キャスターには動かないようにストッパーをかける
キッチンラックの上の段には軽いものを。炊飯器など家電の下には滑り止め耐震マットを敷く。下の段には割れ物を収納するほか、重いものを置くと重心が安定して倒れにくくなる効果も。キャスターには動かないようにストッパーをかける
飛び出さない収納ケースの作り方。(上)100均のプラスチックケースと滑り止めシートを用意。シートをケースのサイズに2枚カットする。(下)ケースの底面と内側の両方に両面テープで貼り付けて完成。ケースも滑らないし、中に入れたお皿も動かない
飛び出さない収納ケースの作り方。(上)100均のプラスチックケースと滑り止めシートを用意。シートをケースのサイズに2枚カットする。(下)ケースの底面と内側の両方に両面テープで貼り付けて完成。ケースも滑らないし、中に入れたお皿も動かない