外食チェーンとコラボ

 次に評価するのは【食品】部門。大手スーパー・イオングループのノウハウを生かすウエルシアや、子会社にディスカウントストアのダイレックスを持つサンドラッグなど、各社がそれぞれのやり方で食品の強化を進めている。

「大手ドラッグストアでいち早く食品の取り扱いを進めたのがコスモス。売り上げの5割以上を食品部門が占め、業界を牽引する存在です。冷凍食品や日配品などの取り扱いにも早くから取り組んでおり、売上高ランキングでは2位のツルハに2倍ほどの差をつけて、断トツの1位ですね」

 ドラッグストアの食品にまつわるニュースは豊富だ。特にウエルシアは独自のサービスも多く、埼玉県坂戸市の店舗では駐車場で「朝市」をスタートしたり、オリジン弁当や吉野家と提携してそれらの弁当を棚に並べる店舗も。

「東日本大震災が起きたあとに、コンビニでは卵や牛乳、惣菜などの販売が一気に加速しました。同様に、このコロナ禍を境にドラッグストアの食品市場も急成長しており、のついでに食品を買うというのも当たり前の社会に変化していくと思います」

 最後は、消費者として最も気になる【ポイント還元】。“ポイ活”ブームにおいて、あらゆる商品がそろったドラッグストアは過酷なポイント付与合戦の主戦場ともいえる。

「独自のポイントサービスはもちろん、楽天やTポイントなどの大手との連携を進めるチェーンも多いです。マツキヨは以前からアプリの開発でクーポン配布などを強化していますし、歩いて独自のマイルを貯められるスギ局の『スギサポwalk』という歩数記録アプリも人気です」

 毎月20日に行われるウエルシアの『お客様感謝デー』では貯まったTポイントの1・5倍分の買い物ができると人気で、“ウエル活”とも呼ばれる。これらの話題を提供する企業が高評価を得るかたちとなった。以上、各項目を判定した結果、ドラッグストア通信簿で最も優秀な成績を収めたのはウエルシアに。

「ウエルシアはヘルスケアに強く、にまつわる情報開示や店員への相談などの体制も整えています。価格はピカイチに安いというわけではないですが、消費者にとってますます使い勝手がよくなることは間違いないと思います」

 過熱するドラッグストア戦争。それぞれのチェーンの強みをうまく把握し、より上手に使っていきたい。

一目でわかる!ドラッグストア調査
一目でわかる!ドラッグストア調査
【写真】最強はどこ?ドラッグストア調査
 今回は、ドラッグストア業界の売り上げで上位を占める6社を取り上げた。各項目は企業発表のデータを基本に、商品数やPBの有無、売り上げに占める構成比などを基に独自の基準で評価した。基本的には各社の主要店舗以外にも、マツキヨグループの「どらっぐぱぱす」などやツルハHDグループの「くすりの福太郎」「ウォンツ」「レディ薬局」など、それぞれのグループ店舗についても含めたデータを評価対象とし、1月20日に調査。

加速するPB商品戦国時代

 大手メーカーのナショナルブランド商品と比べて「ただ安いだけ」といった評価ははるか過去のもの。ますます混迷を極める競争のなか、さまざまな付加価値を得てドラッグストアの売り上げを支えている人気のPBをチェック!

コスモスのPB『ON365』
コスモスのPB『ON365』

 特に幅広い食品のラインナップが魅力のコスモスのPB『ON365』。「おいしい惣菜」シリーズなどの冷凍食品はもちろん、ベーコンやちくわなどの日配品、さらにはお酒まで、高品質で低価格な商品が並ぶ。

マツキヨのPB『matsukiyo』
マツキヨのPB『matsukiyo』

 マツキヨのPB『matsukiyo』の強さの秘訣はその開発力。化粧品やサプリなど、顧客の声を細やかに取り入れるだけでなく、購買動向などのビッグデータも用いて、ニーズの高い良品を数多く生み出している。

『くらしウエルシア』はウエルシアの日用品PB
『くらしウエルシア』はウエルシアの日用品PB

『くらしウエルシア』はウエルシアの日用品PB。機能、品質、エコ性能に配慮した付加価値の高い商品展開が魅力で、「誰も傷つけたくないスポンジ」など、ユーモアあふれるネーミングセンスも評価できる。

〈取材・文/吉信 武〉