化粧品や日用品に強いのは

 次に、ドラッグストアの専門性を担う調剤と一般用医品の2項目を見ていこう。そもそもドラッグストアの業態には、医品の調剤を扱える保険局としての機能がある店舗とない店舗が混在している。

 今回【調剤】は医師の処方箋に従って提供する医療用医品を中心に、【一般用医品】はそれ以外の第2類医品や第3類医品などのいわゆる市販を中心に、それぞれ売上高やサービス内容、商品の充実度をもとに判定した。

「健康維持や予防医療にも注目が集まるなかで、医品やサプリメントを充実させたり、健康にまつわる情報提供に力を入れたりと、ヘルスケア部門のさらなる強化を意識しているのがウエルシアとスギ局。両社はとにかくヘルスケアに強く、調剤のみの売上高でもトップ2です。特にスギ局は調剤併設を早くから本格的に進めており、現在では8割ほどの店舗で調剤ができるようになりました」

 調剤体制の強化は各社が進めているところだが、この2社が頭ひとつ飛び出て、それぞれS評価に。一般用医品については調剤ほどの差はつかなかったが、解熱鎮痛剤や抗アレルギーなど医品でもプライベートブランド(PB)商品を幅広く展開するマツキヨに軍配が上がった。

「ツルハの『くらしリズム』やスギの『エスセレクト』など、PB商品には各社が力を入れています。そのなかでもマツキヨのPB医品は売り場の目立つところに陳列されており、種類も豊富です」

 次に気になるのは【化粧品】の項目。コロナ禍の在宅勤務やマスク着用によって以前よりは販売額が落ちているものの、化粧品は医品とともに“ヘルス&ビューティーケア”と呼ばれ、ドラッグストアの2大看板商品のひとつだ。ビューティーとは基礎化粧品やコスメを指す。

「化粧品で圧倒的に強いのがマツキヨで、化粧品部門がマツキヨ全体の売り上げの4割近くを占めるほどです。こちらもPB商品の充実が勝因のひとつで、顧客データを活用し、消費者ニーズを満たすPB商品の開発に力を入れてきた結果の表れですね」

 化粧品の売上高ではマツキヨの後をウエルシア、サンドラッグ、ツルハが追うかたちでそれぞれAランクに。2位以下にさほど大差はつかないが、特筆すべき点があるとすればツルハの追い上げだ。

「ツルハは資生堂やカネボウなど大手化粧品会社とのつながりを強めています。定期的に『カネボウまつり』を行うなど、特にカネボウとの関係は強固。メーカーとの距離の近さもドラッグストアの力のひとつかもしれませんね」

 【日用品】部門も見ていこう。ドラッグストアは医品と化粧品で十分に利益を得られるため、集客のための目玉として、ティッシュペーパーなどの日用品については思い切った安売りをしている。

「日用品はどこも安売り合戦になりがちです。単純な価格比較だけでいうと、ポイント還元やキャッシュレス決済に未対応のコスモスは、そのぶんほかよりも価格を低くすることで対抗しています。他店の税抜き価格よりもコスモスの税込み価格のほうが安いということも多くありますね」

 調査の結果、日用品部門でもマツキヨ、ウエルシア、ツルハなどPBの強いチェーンの健闘が目立った。特にウエルシアは近年『くらしウエルシア』というブランドを立ち上げ、環境配慮型の商品の開発を進めている。

「ウエルシアのPBは環境へのやさしさなどで付加価値を高めた商品を数多くラインナップしています。そういった取り組みが消費者に受け入れられれば、日用品でも差別化できそうです」