アイドルの降板は決定してもチケットは販売され

 アイドルに出演の依頼をしていたのは『一般社団法人芸能研究生』(以下、芸研)と『ASUM株式会社』だった。

「『芸研』はアイドルが所属する芸能プロダクションで、昨年11月に主催者のSから“イベントに出演してほしい”と依頼が来たのです。そこでほかの出演者がまだ決まっていないことを聞き、『芸研』は“ほかの出演者を紹介しましょうか?”と言ったのです。するとSは“有名どころを呼んでほしい”と言うので、予算を聞くと“助成金や協賛金があるので1億円”と言ったとか。そこで『芸研』は実績のある『ASUM』にブッキングのお願いをしたのです」(同・芸能プロ幹部、以下同)

 イベントのチケットの販売が開始された12月20日、『ASUM』の担当者は、鹿児島へと赴き、Sと会っていた。

契約書を渡すと言うので、Sが住む鹿児島に行ったそう。しかし、3日間滞在したけれど、結局Sは契約書を渡さなかった。すでにブッキングをすませていたので、各事務所に出演料や足代で計4000万円を支払わないといけない。そのため12月末に必ず支払いをするよう、Sと約束を取りつけたそうです

 だが、事態は急転。帰京翌日の12月23日にSからこんな連絡があったというのだ。

「『芸研』から出演するアイドルユニットへのギャラの支払いが24日だったのに、Sは“支払いができない”と言ってきた。ビックリして電話をすると“信頼できないので、取引を停止する”と」

 理由も説明されないまま、一方的な連絡だった。

 何を言っても聞く耳を持たないSに、『芸研』と『ASUM』は弁護士を立てて話し合いをしようとしたが、回答はなく……。

アイドルの降板は決まっていたのに、1月1日には出演者のタイムテーブルが発表され、チケットの販売は継続されたまま。各事務所への連絡に追われるなか、一向に降板について発表されない。もしかしたら開催するのかと思い、鹿児島県に確認すると、1月19日にSが会場使用の許可申請を取り下げていたことが判明。これが騒動の一連の流れです

 事実確認のため『芸研』に問い合わせると、

「今はお話しできることはありません。降板を公表したのは、コロナによる不可抗力を理由にイベントを中止して、Sがチケット代金を返金しない可能性があると思ったため。今回は主催のSと私どものトラブルであり、出演者様には何の責任もありません。チケットを購入してくださったみなさま、出演者さまには、本当に申し訳ありません」

 と話すのみだった。

 主催者のSはどう思っているのか。イベントの問い合わせ先で記載されている携帯番号に電話をしてみた。