モデルはあの有名人!

 個性的なキャラもたくさん出てくる。

 26位には、大食いの小杉君が主役の『小杉 みんなによけいな心配をかける』がランクインした。

 大食漢の小杉君を心配したお母さんが、彼を病院に連れて行くのだが、その姿をクラスメートが目撃。小杉君が大病を患っているのではないかとみんなが心配するという話だけど、そもそも小杉君っていたの?

「大食いといえば、プロサッカー選手になった長谷川健太がモデルだったと思います。同じ班だったのですが、給食に嫌いなものがあると、よく健太にあげていました。ほかの同級生もみんな健太に渡していたんです。カレーは超大盛りだし、パンは6枚置いてあったり、彼の机は食べ物でいつも隙間がない状態で……。

 ただ、小杉君みたいに“もっともっと”って感じではなく“健太、これ食べてくれ”と言うと“いいよ”という感じでした。昨年末には名古屋グランパスの監督に就任したけど、凄いよね」

 アニメでは丸刈りでサッカー好きの同級生として登場する“ケン太”も長谷川健太監督がモデルとされるが、彼からはふたつのキャラが誕生していたというのだ。ほかにもこんな逸話があるという。

健太は給食中も足元でボールを転がしながら食べていました。サッカーの朝練があって、昼休みは友だちと、夕方は部活。クラブチームにも入っていましたから、ずっとサッカーをしていました。

 あるとき友だちと野球をやろうって話になったんですが、ダメもとで健太にも声を掛けたんです。忙しいから来ないと思ったら“行くよ”と言うから“えぇ! 健太が!?”ってビックリ。サッカー漬けの健太が野球をするって、僕らにとってもニュースだったんです。ただ、野球はあんまりうまくなかった(笑)」

 1位に輝いた『まる子 南の島へ行く』には後日談がある。

『まるちゃん南の島へ行く』の巻 (C)さくらプロダクション/日本アニメーション
『まるちゃん南の島へ行く』の巻 (C)さくらプロダクション/日本アニメーション
【写真】『ちびまる子ちゃん』神回ランキング6位〜35位と、名シーンの数々

『まる子 はまじとウワサになる』で、まる子が南の島のお土産を同級生に渡すのだが“はまじ”には『I love You』と書かれたバッジを渡していた。翌日、まる子が学校に行くと、黒板には相合傘が書かれ、《スクープ! “まる子”と“はまじ”ねつあい!!》と記された怪文書が出回るなど、すっかり噂になっていたのだ。小学生ならよくある話のような気もするが、そんな恋愛エピソードも本当にあったの?

「そんな浮いた話はありません(笑)。ただ、中学時代だったか、さくらがなぜか僕をジッと見つめてくることがあったんです。気があるとかそういう感じではなく、観察していたんだと思います。そのころから、さくらの中では“ちびまる子”の構想があったのかもしれませんね」

 こんなこぼれ話も。

「実際にいた教師の戸川先生は、オレンジのTシャツに浅黒く、色の入ったサングラスのような眼鏡をかけていました。めちゃくちゃ怖かったので、僕は学校に行きたくなくて、不登校になったぐらい。1年で別の学校へ異動したときは、“4年生は一緒じゃないんだ。やった!”と思ったのをよく覚えています」

 ランキング外ではあるけど、『先生の家に遊びに行こう』では、まる子らが戸川先生の家に遊びに行く話。最終的に“はまじ”は戸川先生の家に泊まることになり、翌日に先生と登校するシーンも描かれる。

「先生が本当に怖くて僕は学校に行ってなかったのですが、朝に戸川先生が迎えに来て、連れていかれることもありました。だから朝6時45分ぐらいに家から逃げ出していたんですよ。アニメのような優しい先生はいないんです……」

 戸川先生と登校する浜崎さんを、さくらさんは見ていたのかも。

 2018年に53歳という若さで他界したさくらさん。彼女が過ごした子どものころのたくさんの思い出は、今も色褪せず多くの人に愛され続けているのだ。