ほとんど近所付き合いがない

 近所の女性は「ほっそりしたごく普通の若い男性に見えた」と話す。

「数年前の日中、バイクか自転車に乗ってどこかに出かけるところを見かけたぐらい。母親と祖母と暮らしていたようだが、ほとんど近所付き合いのない一家だったので専門学校に通っていたことすら知らなかった」(同・近所の女性)

 一家が引っ越してきたのは約8年前。自宅を新築し、庭に天使のオブジェを飾るなど、近隣住民の目にはおしゃれな家族と映った。しかし、引っ越しの挨拶もなく、特に古川容疑者の姿を外で見かけることは少なかったという。

「小型犬を飼っていて、母親はひとりで犬の散歩に出かけていました。どうも近所付き合いが得意ではないみたいで、散歩する時間帯は朝早かったり夜遅くだったり。おばあちゃんは近所の人に資産家と匂わせることもあったようですが、数年前に倒れてから姿を見かけなくなりました。息子さんは高校生ぐらいのときに制服姿を見かけただけ。ヤンチャそうには見えませんでした」(近所の住民)

 近所付き合いをしない一家のなかでも、古川容疑者は遠い存在だったという。

「自宅の庭の芝生をはがしてコンクリートに張り替えたので、息子さんが車を持つ年齢になったのかなと思ったぐらいです。自宅には250cc以上のバイクが停まっていました」(同・近所の住民)

 事件後、自宅からはバイクが消えていた。

 古川容疑者と岩渕さんのあいだでどのようなやり取りが交わされてきたのかは、捜査の進展を待つほかない。

 現場アパート周辺では、平日の日中に出歩く岩渕さんが目撃されており、時間に余裕のある生活を送っていたようだったという。

 岩渕さんと面識のある女性は、

「いい人でしたよ。やさしい人でした」

 とポツリ。

 女性を“モノ扱い”して身勝手な犯行におよんだ古川容疑者。間違った考え方を指摘する人はいなかったのだろうか。