残るべくして残った『家族に乾杯』

偶然かどうかはわかりませんが、ちょうどそのタイミングで『家族に乾杯』が毎週放送のレギュラー番組になりました。それまでは月1回でしたが、2005年4月から週1回の放送になったんです

 単純計算で、ロケに行く場所が4倍に増えたことになる。鶴瓶とゲストがロケに行けば子どもたちは大騒ぎをし、中高生はSNSで拡散する。

 自分が映れば放送が気になるし、鶴瓶やゲストと話をすればスタッフからその場で連絡先を聞かれ、後日、名前や年齢確認の電話がきたりする。

 もし鶴瓶やゲストを家に上げでもしたら、その日いなかった家族のインタビューをスタッフが改めて撮りにくることも。

 ロケ地はしばらく『家族に乾杯』の話題でもちきりだ。当然、番組を見る機会は増えるだろうし、番組が終わってニュースが始まってもチャンネルを変えないことだってあったはずだ。NHKを見る時間が増え、不信感が少しずつ薄らいでいった人もいるだろう。

 実際、週1回の放送になった翌年の2006年以降から徐々に未払いは減り、2015年には不祥事前と同じ水準の77%に支払い率は戻った。受信料の未払いが多いところにロケに行くという、受信料取り立て役としての「ウラ使命」が番組にあったとしてもおかしくはない。

 NHKにとって、簡単には打ち切りにできないしがらみがある『鶴瓶の家族に乾杯』。この番組が放送終了になったときが、NHKの本当の「改革」なのかもしれない。