たとえ選抜に選ばれなくても高待遇?

 これまで乃木坂のシングル選抜になる確率について語ってきたが、選抜メンバーは常連で固まりやすい傾向がある。1期でいえば齋藤飛鳥(23)、秋元真夏は選抜回数20回を超えるものの、和田まあや(23)は29枚のシングルのうち選抜経験は2回。

 3期生の与田祐希、山下美月、4期の遠藤さくら(20)、賀喜遥香(20)など不動の地位を築くメンバーがいる一方で、選抜経験なし、あっても1〜2回の選抜に止まっているメンバーも多い。全体的に中間が少なく、両極端という印象だ。

 乃木坂の選抜は運営側が決める方式で、その基準は握手会の人気と言われている。AKBの総選挙のように、ファンによる投票イベントもなく、SNSも一部メンバーにしか解放されていない。このため運営側が驚くような突然人気になるメンバーが生まれる可能性は低い。なかなか序列を覆せない、逆転の少ないグループといえる。

 ただシングル選抜にこだわらなければ、乃木坂46は恵まれたアイドルグループだ。

 その代表が山崎怜奈(24)。現役2期で唯一シングル選抜経験がないが、慶應義塾大学卒業という高学歴を生かしてクイズ番組の出演や、テレビ番組のMCやラジオ番組のMC、雑誌の連載など活躍は多岐にわたる。

 この3月までNHK Eテレ『将棋フォーカス』で3年間総合司会を務めた向井葉月(22)やファッション誌『Ray』(主婦の友社)の専属モデルを務める金川紗耶(20)も選抜経験はない。そのほか、ラジオのレギュラーや舞台の主演については枚挙にいとまがない。選抜にならずとも、他のアイドルグループが羨む高待遇だ。

 アイドル業界全体として考えれば、5期生は乃木坂46のメンバーになった時点で既に勝ち組。さらにデータを見れば奇数期のシングル選抜が高く、その法則でいえば、5期生の前途は明るい。あとは運営側やファンに好まれる行動が、乃木坂での成功のカギとなりそうだ。

PROFILE●徳重龍徳(とくしげ・たつのり)●ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku