ある人が、市販のおにぎり(塩むすび)をお茶漬けにしようと、茶碗に入れてお湯をかけたところ、パーッと油が浮いてきたのにビックリ。

「なぜおにぎりに、油が使われているのですか?」と、その人は疑問を持って私に聞いてきました。

【残念な真実1】大量の油が使われている!?

 これは「炊飯油」といって、炊くときに油を混ぜ込んで炊くからです。油を入れる理由は主に3つあって、まず1つめは「食感が良くなる」からです。

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【写真】安倍氏が考えた“安心おにぎり”

 油を混ぜ込んで炊くと、米粒が油でコーティングされてチャーハンのようにパラパラの仕上がりになります。油のおかげで粒と粒の間に空気が入るから、一粒一粒がくっつかず、冷えても固まりません。

 そうすると食べたときに口の中でほろっとほどけて、噛まずに食べられます。今時の若い人は、そういう食感が好きなのだと思います。スマホを見ながら、特に噛んで味わわなくても食べやすいことも一因にあると思います。

 家庭で作ったおにぎりは、粒がつぶれて、冷えると「ねちょっ」とした感じに固まってしまいますよね。そうするとしっかり噛まないといけません。そういうものよりも「噛まずに飲み込める」食感のほうが好まれるのです。

 それから2つめは「機械適性」、つまりおにぎりを製造するときの問題です。自動おにぎり機というのがあって、目にも止まらない勢いでおにぎりが作られるのですが、型から離れるときにご飯がくっついてしまうのを避けるため、油が必要なのです。

 さらに3つめの理由として、市販のおにぎりはフィルムに包まれていますが、油があることでフィルムにくっつかないからです。

 いずれにしても油なしでは、市販のおにぎりは成立しないのです。

具にも「油」が使われているものも

 油といえば、もう1つ問題があり、それはおにぎりの具によっては脂質がかなり高いものもあることです。

 そもそもご飯には「米油」という油があります。おにぎり1個(100グラム)には0.3グラム程度の脂質が入っています。まあほとんど問題にならない量です。

 ところが、たとえば「ツナマヨのおにぎり」となると、脂質が7~10グラムにもなるものが多くなります。「エビマヨ」が5グラム、「明太子マヨネーズ」が10グラムというのもありました。「焼き肉」が具に使われたものは脂質が9~10グラム、「唐揚げ」や「チャーシュー」が使われたものは6~7グラムだったりします。

 脂質が5~10グラムは当たり前で、「チャーハン」「ピラフ」「オムライス」をおにぎりにしたものなど、なかには20グラム以上のものもありました。

日本人の体を壊す『隠れ油とりすぎ』の深刻問題」でも述べたことですが、「知らないうちに取ってしまう油」を私は危険視しています。

 脂質の摂り過ぎを避けたいなら、「マヨネーズの入ったもの」「焼き肉や唐揚げ系が具材に使われているもの」さらには「チャーハン系」、この3つは「裏ラベル」の成分表示の「脂質」の欄をよく見て、買ったほうがいいと思います。