この記事を書くために、さまざまな市販のおにぎりを食べ比べてみました。いまどきは「焼き肉」「オムライス」「ベーコンなんとか」とか、具のバリエーションがすごいことにもビックリです。

 でも私にはどれも味が濃くて、油がきつくて、また食べたいとは思えませんでした。

 それでもあえて私が食べるのなら、なるべく加工度の低いものを選ぶと思います。「塩むすび」「おかか」「昆布」などです。

 なぜなら、加工度の低いものほど、その分、添加物、油も少ないことが多いからです。私がよく言うことですが、加工食品全般での「加工度が高くなるほど、添加物は多くなる」という基本傾向は、おにぎりにも当てはまります。

 ただ、私の食べたおにぎりは「おかか」も「昆布」も、明らかにだしを取ったあとの「だしガラ」のような味でした。だしガラだから味が抜けてしまっていて、いろいろ添加物や調味料を混ぜて補っている感じでした。

 あと海苔がおいしくない。私の食べたものは2番海苔か3番海苔が使われていて、値段はおにぎり1個で数円ほどだと思います。いい海苔を使えば、おにぎりの味は全然違うのに残念です。

「絶品おにぎり」は、自宅で簡単にできる!

 もちろん私は「市販のおにぎり」を買ってはいけないと言っているのではありません。忙しいとき、手軽に空腹を満たしたいときもあると思います。

 ただ、そのときは、たった1つのおにぎりで「少なくない量の添加物や油」を摂ってしまうこと、そして、おにぎりの多くは「手間賃代」であることを、よく「知って」買ってほしいのです。

 それに、そもそも、自宅でも、簡単にできる「美味しいおにぎり」はたくさんあるのです。手の込んだ料理は作れない人でも、お米を炊いて、具を少し工夫するだけの「絶品おにぎり」は、「少しの手間」を惜しまなければ、簡単にできたりします。

 たとえば、私が15年かけて開発した「安部ごはん」にも、手軽に簡単にできる「絶品おにぎり」をいろいろ紹介しています。

 魔法の調味料の「甘みそ」を、そのまま具材にした「甘みそおにぎり」や、「かえし」だけで簡単に作れる「おかか昆布おにぎり」なども、子どもが喜ぶ味です。「焼きおにぎり」を作るときだって、たんに醤油を塗るのではなく、醤油と砂糖と混ぜ合わせて作る魔法の調味料の「かえし」を塗って焼くことで、たんに醤油辛いだけでなく、ほのかな甘味が加わり、味に「深み」が出て、ぐんとおいしくなります。

安部氏が開発した「魔法の調味料」さえあれば簡単に作れる「おにぎり」。左上から「甘みそ」「味ごま」「ねり梅」「豚みそ」、右上から「おかか昆布」「きざみいなり」「たらこのたたき」「焼きおにぎり」(撮影:佳川奈央)
【写真】安倍氏が考えた“安心おにぎり”

 家でご飯を炊いて、炊き立てをおいしい塩で握って、いい海苔を巻くだけでも、それだけでご馳走になるぐらい、本来おにぎりはおいしいものです。

「市販のおにぎり」ばかり買う人は「冷たいおにぎり」が当たり前になっているかもしれませんが、本来、おにぎりは「温かいご飯」が当然、美味しいわけです。「冷めても美味しい」というコピーがありますが、それは裏返すと、「本当は、温かいものが美味しい」ということ。

 一部のおにぎり専門店の中には、60°cから70°cの炊きたてのご飯を、我慢して熱いうちにおにぎりにしているところもあります。そうすることで、冷めても美味しさが減りにくいからです。

 5歳の子どもが「おにぎりってこんなに美味しいんだね」と手作りおにぎりに感動したのは、それくらい、みんな「冷たいおにぎり」に慣れきってしまっているからだともいえます。「炊きたてのご飯で握った本当のおにぎりの美味しさ」を知らない人が増えてしまっているのです。

 みなさんにも、「市販のおにぎり」ばかりに頼るのではなく、「手作りならではの家庭のおにぎり」の美味しさと楽しさを、ぜひ知って、体感していただきたいと思います。


安部 司(あべ つかさ)Tsukasa Abe
『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事
1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、70万部を突破するベストセラーに。その他の著書に『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)などがある。