さらに「運動会の練習が、授業時間を減らしている」という指摘もありました。

「この時期は練習ばかりで、授業が進まなくなるんです。運動会が、他のやるべきことを削っている。消化できるのは体育の授業時間だけです」(神奈川県 公立小学校U先生 30代)

「(運動会の練習で)体育はいっぱいやるので、体育の先生だけは運動会の後、しばらくのんびりできますが、ほかの教科の私たちはやることが溜まって大変です(苦笑)」(長崎県 元公立中学校Y先生 60代)

 運動会の練習で犠牲になっているものも、意外といろいろあったのでした。

コロナで運動会縮小に歓迎の声

 さて、そんな運動会も、この1、2年はコロナで縮小してだいぶ様変わりしています。これについては、歓迎の声が多く聞かれました。

「コロナで『午前中だけ』とか『ダンスと徒競走だけ』という運動会になりました。『このくらいでよかったんだな』というのが、半数以上の教職員の本音だと思います」(神奈川県 公立小学校N先生 50代)

「(縮小された現在の形で)このまま戻らないでほしいです。保護者からは、『学年別の開催になったおかげで自分の子どもがよく見えた』という声もありました」(神奈川県 公立小学校U先生 30代)

「日本の運動会のように、地域のお祭りを兼ねたイベントは外国の学校にはありません。コロナでやっと、ちょうどよくなったのでは」(長崎県 元公立中学校Y先生 60代)

 筆者も、縮小の方向性に賛成です。一日がかりの運動会や、昔から行われてきた騎馬戦などの競技にも懐かしさはありますが、準備や負担、事故の危険などを考えると、ほどほどにとどめたほうがいいように感じます。

 先生たちががんばって準備をして、子どもたちのダンスを披露してくれれば、保護者は「ありがとうございます! すばらしかったです!」とお礼を言うしかありません。内心「そこまでしなくてもいいんだけどな……」と思っていても、まず伝えないものです。

 先生たちは保護者の声をあまり真に受け過ぎず、練習の負担が大きくならない程度に運動会をとどめてくれるといいな、と感じるのでした。

大塚玲子(おおつか・れいこ)
「いろんな家族の形」や「PTA」などの保護者組織を多く取材・執筆。ノンフィクションライターとして活動し、講演、TV・ラジオ等メディア出演も。著書は『さよなら、理不尽PTA! ~強制をやめる!PTA改革の手引き』(辰巳出版)、『ルポ 定形外家族 わたしの家は「ふつう」じゃない』(SB新書)、『PTAをけっこうラクにたのしくする本』(太郎次郎社エディタス)など多数。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。

【募集】
「校則」「いじめ」「過労」「保護者とのトラブル」など、学校が抱える問題は多くあります。『週刊女性PRIME』では、先生たちが直面している現状・トラブルや、なかなか公の場では言えない先生の“本音”を募集しています。概要欄の冒頭に、「先生の本音募集係」とご明記の上、下記投稿フォームよりエピソードをお送りください。(※詳細を取材させていただく場合があります)

ご応募はコチラから→https://www.jprime.jp/list/secure/tarekomi-input