できないことをさらけ出すことで親近感がわく

 4月から始まった『DAIGOも台所』(ABCテレビ・テレビ朝日系)という番組をご存じでしょうか。包丁を持ったことがないDAIGOが料理に挑戦する番組です。彼は本当に料理が初めてなようで、作業はとてもゆっくりです。27年続いた前番組『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』の視聴者や今晩のおかずのヒントを得たい主婦層にとっては、物足りないかもしれません。しかし、今はTVerなどでテレビ番組を後から見ることもできるようになりましたから、視聴者層は主婦とは限らない。まったく料理をしたことがない人、料理が苦手な人にとっては、わからないことを恥ずかしからずにさらけだし、何でもセンセイに聞くDAIGOのほうが親近感もわきそうですし、参考になるでしょう。

 できないことをさらけ出すと言えば、ゆうこりんこと小倉優子は『100%!アピールちゃん』(MBS・TBS系)内の企画で、早稲田大学の受験に挑戦することを明かしています。ゆうこりんは高校生のころから芸能活動をしていましたから、大学受験を目指していた高校生に比べたら勉強時間は短かったことでしょう。実際、学力試験の結果から、中学レベルから勉強する必要があることを指摘されていました。売れっ子のゆうこりんが、テレビで「できない」ことをオープンにするのは勇気がいることだったかもしれません。しかし、そこから成績を上げていけば「ゆうこりんってすごい、頭がいい」とイメージをあげることもできるはず。

小倉優子

 かつて、テレビは事業で成功した人などの“成功物語”をもてはやしたものですが、価値観が多様化し、何が成功者を一言で決めることは難しくなっています。経済格差も広がっているので、お金持ちを見ても「自分とは違いすぎる」と視聴者がそっぽを向く可能性も否定できません。そこで、今のテレビが生みだした苦肉の策が、「できない人」の“成長物語”を見せることのように思えてならないのです。

 冷静に考えてみれば「できない人」というのは、実は悪くないポジションです。最初から「できる人」の成績が落ちると「たるんでいる」と言われてしまうかもしれませんが、「できない人」はそもそもあまり期待されませんし、少し成績が上がれば「やればできるじゃないか」と驚かれてほめられるからです。「出る杭は打たれる」という日本のことわざは、日本人の嫉妬深さを表しているとも言われますが、実は「できる人」のほうが生きにくいのかもしれません。

 もちろん「できない人」は何もしないでいいという意味では、ありません。「できない人」だからこそ、求められる能力もあります。それは、かわいげです。できないけれど、悪いやつじゃない、憎めない。そう周囲に思ってもらえるからこそ、「できなさ」が生きるのです。味方のいない「できない人」は、単なるお荷物になってしまうでしょう。このあたり、ちょっと三平の行動には疑問符がつくようです。