議員なんだからハイヒールを履け

『Stand By Women』は、山内議員のようにハラスメント被害に悩む女性議員を支援する団体だ。

「被害で多いのが、街頭演説中のもの。身体を触られる、握手を離してくれない。写真をたくさん撮られて、“送るからLINEを教えて”と執拗につながりを求められたり、握手や撮影を何度も求められたりなど。あとは演説時の罵倒ですね」

 そう話すのは同団体の代表・浜田真里さん。街頭演説は“自分”を認識してもらうために非常に重要だが……。

「私が話を伺った女性議員さんの9割以上は、街頭演説の開催日時をSNSで告知していません。このような被害や待ち伏せされるなどのリスクを恐れ、事後報告にしているのです」(浜田さん、以下同)

 これらの被害は、地方議員がより受けやすいという。

「国会議員の場合は、『公設秘書制度』によって、国のお金で3人の秘書を雇うことができます。そのため街頭演説などの際、候補者・議員を守ることができる。地方議員のほとんどは秘書がいないので、自分で対処しなければいけないのです」

 ハラスメントは同性である女性からも少なくない。

「服装についてはよく聞く話で、ある議員さんが演説の際に長時間立っているのはつらいためスポーツシューズを履いていたら、女性有権者から“議員なのにハイヒールじゃないのはどういうことだ”と怒られたそう。服装や髪型など、ステレオタイプな女性像を求められがちです。

 また、子育てをしている議員さんは、子育て支援の政策を進めようとしていると、“まずは自分の子どもの面倒を見るべきだ”“子どもがかわいそうだから、応援したいけど投票しない”と説教されたそうです」

 前出の山内議員は、以前は“政治家の妻”という立場だったが、そのときも女性からのハラスメントを受けた。

「わざわざ自宅に電話してきて、“あのときの服装はマズいんじゃないの?”と……。また“あなたに政治家の妻、市長の妻が務まるわけがない”という言葉を投げつけられたりしました」(山内議員