「早く支度して」→「お出かけメモをチェックしよう」

 夏休みの楽しみといえば、旅行やお出かけ。しかし、子どもがモタモタして、なかなか出発できないことがある。

「『支度して』という言葉は漠然としていて、具体的に何をしたらいいのかわかりません。そこで、持ち物と出発するまでにすべきことを明記したお出かけメモを事前に作っておくと便利。外出前にはそれをチェックするように促すと、子どもはスムーズに準備が進められます」

 子どもと一緒に、持ち物や準備を考えること自体が楽しい時間となるはず。

「お出かけ帳があると、準備が早くなるし、忘れ物も予防できます。夏のお出かけだけでなく、普段からぜひ活用してみてください」

「ここができてないね」→「どこができたの? 教えて」

 夏休み中に模試にチャレンジする子どももいる。結果が悪い場合、親はどんな言葉をかけたらいい?

「模試の結果が悪いと、親としてはショックですよね。しかし何より避けたいのは、子どもが落胆して自信とやる気を失ってしまうこと。そこで、親はできていない部分ではなく、できたところに着目して、『この漢字、難しいのにきれいに書けてるね』などと具体的に褒めるといいでしょう」

 子どもの自己肯定感を上げるためには、「ここがよくできてるけど、教えて」と説明してもらうのもいい方法。

「人に説明することには、『自分はできる』という自信を持たせる効果があります。それで子どもが前向きな気持ちになれた時点で初めて、できていないところに触れましょう」

 このときもただ単に指摘するのではなく、子どもを勇気づける言葉がけを。

「『こんなに難しい問題が解けているのに、ここがもったいないね』と子どもの能力を評価してから、『どうしたらできるようになると思う?』と苦手を克服する方法を一緒に考えるといいでしょう」

 親子で過ごす時間が長い夏休みだからこそ、呼びかけを変えるのは効果大。夏休みのイライラはこれで撃退しよう。

「字が上手」と漠然と褒めるより、どこがよいのか具体的に伝えることで、子どもは「親は自分をよく見て、評価してくれている」という気持ちに
「字が上手」と漠然と褒めるより、どこがよいのか具体的に伝えることで、子どもは「親は自分をよく見て、評価してくれている」という気持ちに
【イラストで見る】子どもへの“効果的”な呼びかけ

お話を伺ったのは
杉山奈津子さん


東京大学薬学部卒業。1児の母。作家、イラストレーター、心理カウンセラーとして活動。『偏差値29の私が東大に合格した超独学勉強法』(角川SSC新書)など著書多数。

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取材・文/中西美紀