猛暑で上がっていくのは気温だけではない。春先から続く物価高も天井知らずの勢いだ。生活経済ジャーナリストのあんびるえつこさんによると、「天候不良の影響で玉ねぎは高値が続いていますし、大根も高騰。生鮮食品は魚介類も高値の傾向。昨年は記録的不漁だった秋の味覚・サンマは、今年も低水準の漁獲量になると予想されています」

猛暑でエネルギーと生鮮食品にもダメージ

 問題は、6月末以降の猛暑の影響が表れ始めるのは、これからだということ。

「野菜が市場に出回るのは、作付けから数か月後。育てる期間が猛暑の時季と重なった場合、高温でダメージを受け生育不良になり、価格が高騰するリスクをはらんでいます。そのうえ、豪雨や台風が増えていくタイミング。悪天候の影響も受けやすくなるなど、秋以降、物価を押し上げる懸念要素が多くあります」(あんびるさん、以下同)

記録的不漁で高値が続くサンマ。7月中旬、初競りにかけられた際は1匹1万円だった
【写真】記録的不漁でサンマが初競り1匹1万円!?

 通常の暑さであれば、ビールがよく売れたり、エアコン需要が高まったりして個人消費を増やし、経済にプラスになると言われているが、

「こう暑すぎるとマイナスに。コロナ第7波も重なったことで外出を控えるようになり、ようやく持ち直してきた飲食店や旅行業界ではキャンセルが続出しています。エアコン需要は高まっていますが、半導体など材料の不足から供給が追いついていません」

 帝国データバンクによると今後、値上げを予定しているのは、8月だけで食品をはじめ2400品目。年内には2万品に上る見通しというから、おそろしい……。

「総務省が発表した消費者物価指数では、'22年6月は前年同月に比べて2.4%も物価が上昇していますが、このうち大半を占めているのが原油などのエネルギーと生鮮食品。つまり、生きることに直結するものばかりです」

 この物価高は、急速に進む円安と原油価格の高騰が原因だといわれている。

「円安はアメリカの金融政策の影響を受けたもので、食料や工業製品の原料を輸入に頼る日本では打撃が大きい。そこへさらに追い打ちをかけたのが、ロシアのウクライナ侵攻。原油や穀物の供給が滞る不安から、どちらも価格が高騰しました。そのため電気代も上がり、過去5年で最も高い水準になっています」

 6月の猛暑では電力不足が心配されたものの、「発電所が点検中で稼働できなかったのが原因。7月に入り順次再開しているので、すぐに電力逼迫になる状況ではありません」(前出・三ヶ尻さん)。

 ただ、経済産業省が示した7月~9月の電力需給見通しを見ると、決して余裕があるわけではない。電力の余力を示す「供給予備率」は3%が必要最低ラインとされているが、東北・東京・中部電力管内では、7月に3.7%、8月が5.7%と綱渡り状態。

「猛暑も物価高も、低所得者や年金生活の高齢者ほど打撃を受ける。早急な手当てが必要です」(あんびるさん)