「無言の圧力はありえる話です」

――長妻さん、これはどういうことなんでしょうか? 1か月に窓口で支払う医療費が高額になったときに支払われる高額療養費制度がなくなるんでしょうか?

「問題の根は同じなんですが、でも今回あがっている高額医療費負担の廃止で、高額療養費制度がなくなることはありません。財務省の主計局は予算執行調査というのを定期的にやっているんですね。税金の無駄遣いをなくせってことです。

 今回指摘されたのは、1か月あたり80万円を超える高額な医療費が派生した場合の税金の負担です。つまり、がんの治療や事故で手術をしたとか、そういうときに80万円を超えた部分の、さらにその1/4を国が負担して自治体の国庫財政に入れているんです。その総額が今、920億円です。

 それが平成18年度には国保医療給付費に占める割合の2,5%ぐらいだったのに令和2年、一昨年には4,4%にまで上がってきているので、80万円以上ではなく、もっと90万円以上100万円以上とかに国の税金で払うのは減らせってことなんですね。それで今、厚生労働省と財務省が戦ってるところなんです」

――それは厚生労働省を絶賛、応援したくなりますが、もし財務省の言うとおりになったら、私たちには影響はないんですか?

(10割で)80万円以上の支払いが頻発する自治体が苦しくなりますね。そういうところはおそらく高齢者が多い地域とかで、そういう困難なところからお金を削るということが発生します。余裕のあるところから削るんじゃなくて、困難なところから削っていくというのはおかしいでしょう? 

 そうなってくると、やはり、その地域では国民健康保険料は上がります。さらに、80万円以上の高額医療費が続出するような事態になったら、暗に『ちょっとあんまり高額の医療やらないでしょ』と圧力がかかる可能性だってなきにしもあらず、ですよね。そこは合理的な説明はできませんが、無言の圧力はありえる話です」

――となれば、私たちにもやはり影響はありますね。

「そう言わざるを得ないですね。今、国民健康保険料は1741の自治体ごとに保険料が違い、差が大きいんですね。これを県内では同額に統一しようよ、というのを民主党政権のときから進めてきて、あと4~5年後には実現できます。せめてそれに合わせてこの改変をしてくれたら、弱い自治体が苦しめられることが少なくなります。そういう折衝が今行われているところなんですよ」

 私たちがツイッターでワイワイと騒いで心配した「高額療養費制度」はなくなることはないが、弱い自治体が苦しみ、それが私たちに影響してくる可能性がある、ということだった。

 こうしたニュース一つ一つ、ぜんぶを理解することは難しいけれど、わからないものに知らん顔をして、ただ従順に従っていては、私たちの生活はどんどん苦しくなるばかり。

 私たちはどんどん聞いて、どんどん声をあげていかなきゃいけない。自分たちの生活は、自分たちで守っていかないと、と改めてそう思った。まずはコロナ対策! 岸田さん、国葬どころじゃないでしょう? 私たちの命を真剣に守ってくれよ!なのだ。


和田靜香(わだ・しずか)◎音楽/スー女コラムニスト。作詞家の湯川れい子のアシスタントを経てフリーの音楽ライターに。趣味の大相撲観戦やアルバイト迷走人生、政治など書くテーマは多岐に渡る。主な著書に『スー女のみかた』(シンコーミュージック・エンタテインメント)、『世界のおすもうさん』(岩波書店)、『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。』(左右社)がある。ちなみに四股名は「和田翔龍(わだしょうりゅう)」。尊敬する“相撲の親方”である、元関脇・若翔洋さんから一文字もらった。