そんな三田の結婚後の「代表作」が6年前の会見だろう。やわらかい笑顔とはんなりとした口調で、不倫をした夫に釘を刺しつつ、歌舞伎役者としてはまだまだこれからの息子たちのためにも「家族5人で頑張ります」とアピール。この対応は絶賛されたが、筆者としてはあざとさに磨きがかかった印象も受けた。

 京都出身者ならではの本音を気取らせない巧さというか、それこそ「帰れ」とは言わずに「ぶぶ漬けでもどうどす?」でわからせようとするしたたかさを感じたのだ。

「梨園の妻」から「梨園の母」へ

 それゆえ、別居を認めたことについても深読みをしてみたくなる。例えば、8月末、彼女はインスタに3人の子どもたちが幼少期「お芝居ごっこ」をしていたときの写真を投稿。

「感謝を忘れずに力を合わせて三本の矢で頑張って!」

 と、エールを送った。

 ちなみに「三本の矢」とは、戦国武将・毛利元就が息子たちに授けた教えのことだ。芝翫がかつて、NHKの大河『毛利元就』に主演していることから、コメント欄も盛り上がったが──。

 実は彼女の関心も、夫の次の代、つまりは息子たちのほうに移ってしまったのではないか。

 おそらく離婚までは考えていないだろうが、気持ちとしては「梨園の妻」より「梨園の母」。それこそ、息子たちの妻選びのほうが気になるのではと思うのだ。

PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)