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ー 45歳で子宮を全摘 ー もっと早くに病気を打ち明けていたら!

 子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸がん……妊娠、出産など女性の大事な時期に襲ってくる子宮の病気。女性有名人も最近、次々とカミングアウト。オモテでは笑顔を見せながら悩みに悩んで決断した話や病気に負けない心得を打ち明けてくれた《大黒摩季さん編》。

45歳で子宮を全摘

『ら・ら・ら』『あなただけ見つめてる』『熱くなれ』など、数多くのヒット曲で知られる歌手の大黒摩季さんも、子宮の病気で苦しんだ1人だ。

 若いころから激しい生理痛に悩まされ、その後、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫など、連鎖的に起きた病気の数々と闘い……最終的に、45歳で子宮を全摘することで、やっとその痛みから解放された。そんな彼女が、今年4月のテレビ番組に出演した際に口にしたメッセージは、

みなさん、痛みがあったら1人で我慢せずに、早めに病院に行きましょう!昔の私にも言ってあげたい。意地を張ったところで、逃げられないんだから、と──」(NHK『あさイチ』にて、以下同)

 一体、大黒さんに何が起きていたのだろうか?

もっと早くに病気を打ち明けていたら!

 デビュー5年目、27歳のとき。下腹部の強い痛みを訴えた大黒さんの診断結果は、子宮内膜症。しかも子宮が腫れ、周囲の臓器を圧迫するほどの重症だった。すぐに治療を始めたが、やがて過酷な選択を迫られることになったという。

「歌か治療か、どっちを取る、と。のむことになる薬には、声が出しづらくなるという副作用があったんです」

 歌手として初めてのライブを控えていた大黒さんは、治療を中断。日々の痛みをごまかしながら、歌手活動を続けた。しかし、この選択は、のちにつらい結果をもたらすことになる。

 33歳で結婚。妊活に臨もうとするも、放置し続けた子宮内膜症は悪化。さらに子宮腺筋症と子宮筋腫なども判明。不妊治療によって何度か妊娠はしたものの、どの命も安定期を迎えることはできなかった。そして2015年、大黒さんは子宮を全摘出する。

「子宮をとってからは痛みもないし、笑顔も増えてポジティブになりました」

 長く悩まされていた病を完全克服した大黒さんの笑顔はすっきり晴れやかではあるが、当時を振り返る際にはやや険しい表情をのぞかせる。

「身体を雑巾のようにきつく絞られた感じの強い痛みでした。思えば、学生時代から生理痛に悩まされていて、電車で血まみれで倒れたこともありました。

 でも、当時は、今よりずっと男社会で、子宮の病気とか生理痛とか、とても口には出せない空気だったので……」

 もし、もっと早くに周囲に病気のことを打ち明け、治療をしていたら──。

 なんとなく話しにくいなどと言って放置すると、手遅れになるかもしれない子宮の病気。正しい知識をもって若いうちから治療を始めてほしい。

 それが、大黒さんの、経験者としての切実な願いなのだ。

※治療法は症状などによって異なります。個々のケースは主治医にご相談ください。

〈取材・文/八坂佳子、大野瑞紀〉