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ー 2席に1台の割合でモニターがある座席も

 11月20日にカタールで開幕したサッカーワールドカップ。初の中東開催ということで注目を集めているが、試合が行われるスタジアムがこれまでとはひと味違うのだという。いったいどういうことなのかというと、

「カタールは11月でも日中は30度近くまで気温が上がります。だからなのか、客席の足元にダクトがあって、そこから冷風が出てくる仕組みになっていましたね。スタンドの壁の側面にもダクトがあり、ピッチに向けて冷たい風が出ていました。そのため、スタジアムの中は寒いくらいで、席にはひざ掛けが用意されていますし、長袖と長ズボンが必要です」(現地で取材するスポーツ紙記者)

 観戦したファンも、SNS上で、

《寒いなんてもんじゃない》《クーラーの設定温度がおかしい》

 と、戸惑いの声をあげている。

「そもそも今回のワールドカップは、酷暑を避けるために通常の6月~7月ではなく、11月~12月に時期をずらして開催されています。選手がプレーしやすいようにと強力な空調を設置するという話でしたが、これだと本当に“選手ファースト”な大会になっているのかどうか……」(サッカー雑誌編集者)

 潤沢とされる資金の使い道はこれだけではない。会場となるスタジアムにはモニターが付いた座席があった。

2席に1台の割合でモニターがある座席も

「2席に1台の割合で設置されていて、試合中の映像などが流れるんです。観客はうれしいとは思いますが、あれだけの数のモニターを付けるとなると、かなりの金額になっているはず。開幕前にスタジアムを訪れた海外の関係者は、“カタールワールドカップは史上最高の大会になるだろう。テクノロジーが普通ではない”と言っていましたが、それほど設備としては充実しています」(前出・スポーツ紙記者)

 ゲームをジャッジするシステムについても、過去最高と言われている。開幕戦のカタール対エクアドルの試合序盤でさっそく披露された。

「前半3分にエクアドルの選手が先制のゴールを決めたかのように見えたのですが、今大会から導入された“オフサイド自動判定”でオフサイドと判定されました。すべてのスタジアムに12台の特別なカメラが設置され、各選手の動きを追跡。ボールにはセンサーが埋め込まれ、キックされた位置を検出できます。これらのデータを組み合わせ、人工知能も応用することで、オフサイドかどうかを3秒程度で判定できるというシステムです」(前出・サッカー雑誌編集者)

 海外では取り入れられているリーグもあるが、日本のJリーグではまだ導入されていない最新のテクノロジーが使われている。

「大会の開催費用は30兆円以上と言われています。これまでは‘14年のブラジル大会の2兆1000億円が最高でしたから、ケタ違いのお金が投入されていますね。これが俗に言う“オイルマネー”の強さなんでしょうか」(前出・スポーツ紙記者)

 バブリーな大会となっている一方で、来場した観客向けの宿泊施設は空調のないコンテナ型で1泊当たり約3万円かかることも報じられている。スタジアム建設では移民労働者の人権問題もあっただけに、大会後に“負の遺産”とならないことを願いたい。