そして、『東リベ』を考察する上で欠かせないのが、作中最大の宿敵ともいえる稀咲鉄太(きさきてった)の存在。

稀咲鉄太の残した言葉が思わせぶりすぎる?

 タケミチが初めにタイムリープする理由はヒナを救うためだったが、何を隠そう、この稀咲こそがヒナを殺し続けていた元凶。その正体は、小学生時代にヒナと同じ塾に通っていた幼なじみ。稀咲はヒナに一方的な好意を抱いていた。

 ある日、公園で猫をいじめる中学生たちをヒナが注意。塾から一緒に帰っていた稀咲は物陰に隠れて、今にもヒナが襲われてしまいそうなとき、“ヒーロー”として駆けつけたのがタケミチだった。結局ボコボコにされてしまうタケミチ。そこに真一郎が登場。このとき不良を追い払うとともに、タケミチの勇姿を見て、タイムリープの能力をこっそり授けていた。

 この件で、ヒナはタケミチに好意を寄せることに。稀咲もタケミチに尊敬の念を抱いたが、ヒナの思いを知って、“タケミチを超えてヒナを手に入れる”ことに執着するようになる。そして、中学生時代にタケミチの後を追って不良になり、裏社会でのし上がっていくが、当然ヒナはそんな稀咲には振り向かず、ついには殺害――という悲劇が、タケミチが稀咲の真意に気づくまで何度も繰り返されていた。

 その連鎖に終止符が打たれたのは、過去世界で稀咲が死亡してからのこと。タケミチは、何度過去を変えてもヒナが助からないことを受け、「稀咲もタイムリーパーなのでは」という仮説に辿り着く。その後、タケミチに追い込まれた稀咲は、道路上でトラックに撥ねられて死亡することになったが、このとき彼が残した言葉が謎として残されている。

「オマエ…まだ」

「オレがタイムリーパーだと思ってんのか?」

「オレは」

 そう言い残して稀咲は死亡。口ぶりから、稀咲はタイムリーパーではなかったことが窺えるが、その後の「オレは」に続く言葉は最後まで明かされなかった。

 その後の物語で稀咲に関する描写は少なく、さらにタケミチも、やり直しの効かない一度の人生で不良世界の頂点に立っていた稀咲に対するリスペクトを漏らすシーンもあるため、単にタイムリーパーではないことを伝えるだけだったという見方もできるが、それにしては思わせぶりなセリフ。稀咲は何を伝えようとしたのか……。

 数々の謎を残したまま終わった『東リベ』の最終回を受け、SNSには冒頭のほかにも

《考察してきた人々が救われねーわ》

《うすうす伏線回収されなさそうとは思ってたけど、なんか一生懸命辻褄合わせて考察してたのにな…》

 という厳しい意見が多く寄せられている。その一方で、

《考察の隙間の残しつつ最高のハッピーエンドでした》

《全然わたしの考察と違う…めちゃ面白いな》

 と物語終盤の怒涛の展開を支持する声もある。

 賛否がわかれたとしても、多くの反響が寄せられているのは人気作の証拠。残された謎を解き明かし、見事な伏線回収を見せてくれる“リベンジ”に期待⁉︎