容疑者2人にはともに子どもがいて…

 大木渉容疑者が住んでいたのは、事件現場から約45キロメートル離れた、埼玉県比企郡にある一軒家。自宅前にはベビーカーや子ども用の自転車が並んでいる。近隣に住む男性は、

「彼はあの家のお婿さんです。7~8年ほど前に、大木さん宅の次女と結婚しました。ふたりの間には小学校低学年と未就学児の娘さんがいたはずです。ご家族が本当に不憫ですよ」

 と話して、肩を落とした。近隣住民の女性は、

「大木さん宅は、お婿さんと次女の家族、その姉のお子さん、高齢のご両親が住んでいます。姉夫婦には3人のお子さんがいるのですが、姉夫婦は2人とも亡くなってしまった。高齢のおじいさんは数年前から病気になって車イス生活に。年金はもらっているでしょうけど、一家の大黒柱はお婿さんでした。お婿さんの奥さんも働いて、姉夫婦の子どもたちの面倒も見ていたんです。支えなければいけない家族がいるのに、なんでこんな事件を起こしたのか……」

 容疑者の家族に同情するが、顔をしかめてこうも続けた。

「でも、近くに住む人間が殺人事件を起こしていながら、何食わぬ顔で暮らしていたかと思うと怖くって……」

 自宅に帰ってきた大木容疑者の義母に声をかけたが、

「何もお話しできることはありません。私たちも、何もわからないんです」

 と言って、自宅へ入った。事件後、大木容疑者が早朝に子どもを車に乗せて出かける姿も目撃されており、家庭では“いいパパ”だったよう。

 それは、もう1人の容疑者も同じだった。事件現場から約20キロメートル離れた埼玉県越谷市の賃貸物件に住んでいた大西寿貴容疑者。

「本当ですか? 嘘でしょう、信じられません……」

 話を聞いた近隣住民女性は、事件を聞いて驚きを隠さない。

「すごく仲のいい家族で……。大西さんは二軒長屋のひと部屋を借りて、妻と、中学生と小学生の娘さんに未就学児の長男がいる、家族5人暮らしです。ゴミ出しのときに些細なことで近隣の方に注意されたときは“すみません! すぐ直します!!”と謝ってゴミを出し直していました。悪いことをする人に見えませんでしたし、夏には家族で花火をしていて幸せそうだったのに……」(同・女性)

 話を聞こうと大西容疑者の自宅インターホンを押したが、応答はなかった。幸せな家庭を築いていた容疑者らが、どうして凶行に及んでしまったのか─。