『紅白歌合戦』の“功”

 こうした意見に対して、長年、見続けてきたコラムニストの吉田潮さんは、「アンテナを張っていない人にとって、『紅白』はこんなすてきな人がいるんだよというお披露目会的な側面がある」と『紅白』の“功”を評価。

「私自身、昨年出場した藤井風さんのパフォーマンスを見て、彼にハマってしまったひとり。それまでなんとなく存在は知っていたけど、実際にライブパフォーマンスを目の当たりにすることができる場として、『紅白』の存在は貴重」(吉田さん)

 また、次の肯定的意見も見逃せない。

「宮崎県では音楽番組がろくにないので、Official髭男dismやVaundy、King Gnuなどの歌唱力の高い人の歌声が聴きたい」(宮崎県・42歳)

「地方ではあまり歌番組がないから。でも、見たい人、聴きたい曲以外は見ないかな」(福井県・52歳)

 こうした地方部と都市部とでは、歌番組への温度差があることも忘れてはいけないポイントだろう。吉田さんは前出のコメントに対して、ドラマの影響があるのではないかと指摘する。

「VaundyやKing Gnuなどは、ドラマの主題歌にもなっています。ドラマを見ていた人が興味を覚え、実際に歌っている姿を見たいといったニーズもあるのだと思う」(吉田さん)

否定派の正直な気持ち「出場者をほとんど知らない」

すでに“定番”となった三山ひろしの、『けん玉ギネスに挑戦』。はたしてこれを心待ちにしている視聴者はいるのか?
すでに“定番”となった三山ひろしの、『けん玉ギネスに挑戦』。はたしてこれを心待ちにしている視聴者はいるのか?

 対して、過半数を上回った「見たくない」と回答した人たちは、どんな理由から否定的見解を示したのか?

「出場者のほとんどが知らない人。歌手として、常に実力があって誰もが知っている人が出る『紅白』ならいいと思います」(宮城県・69歳)

「けん玉はいらない。昔のような純粋な歌合戦が懐かしい。今は見たい人がいない」(愛知県・61歳)

「K-POPやアイドルが多すぎる。売れているのかもわからないグループが出場する意味がわからない」(大阪府・51歳)

 もっとも目立った意見は、冒頭の言葉を含めた、「知らない人が多い」「知らない人が、なぜ国民的番組に出場するのか?」という声。

 先ほど、「お披露目会的な側面がある」と語った吉田さんも、「それを大みそかの『紅白歌合戦』でやる必要があるのか……という疑問はある」と苦笑する。

「仕事でコラムを書くため、毎年見続けてますが、知らない人が増えるほど、“今年で卒業かな”という気持ちになる。

 アンケートの中に、『歌が下手な歌手が多いし、その人たちの持ち歌をよく知らない。歌の上手な人ばかりが出場する歌合戦なら見ます』という回答があったのですが、ごもっとも!と頷いてしまいました」(吉田さん)