積極的に食べると吉!毒抜きに効果アリの食材

 ここまで、健康のプロがこぞって避けるべ物を紹介してきたが、一方でプロたちが摂取を心がけている品もある。

 石原先生は、腸内の善玉菌を増やす品を積極的に選ぶ。

「善玉菌は、発酵品に多く含まれ、物繊維をエサにして増えます。そのため、これらを一緒にとることがポイントです」

 善玉菌のなかには、やせ菌と呼ばれるものも。これは悪玉菌の増殖を抑え、脂肪を燃焼する働きを持つ健康のよき友だ。また、善玉菌は脳内でやる気や幸福感をうながすドーパミン、セロトニンなどのホルモンを作りメンタルも元気にしてくれるという。

 物繊維も善玉菌を育てるエサとなる大切な栄養素。余分な糖や脂肪を吸着して代謝をよくし、血糖値の上昇も緩やかにしてくれる。健康にはもちろん、美容効果も大だ。

 管理栄養士の圓尾先生がすすめる献立は和

「魚介類、豆類、海藻、野菜と、ヘルシーな栄養素の宝庫です。昔ながらのレシピを手本に、かつお節や昆布、しょうゆなどの自然な味つけにすれば減塩効果も得られます」

 今どき、化学調味料や添加物を完全に避けるのは難しいが、体外への排出が十分にできれば怖がる必要はない。代謝や解毒を行うのは肝臓なので、それを働かせる、良質のタンパク質やビタミン、ミネラルなどをとることが必要だ。

 良質な栄養源として、魚を積極的にべていると話すのは歌島先生。

「1日60g魚をべると、死亡リスクが12%減るという論文もあるんです」

 また青木先生は、日頃から生活のバランスを見直すことは、さまざまなべ物にあふれた現代だからこそ重要だと話す。

「現代人の多くは、炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素による摂取カロリーは十分なのに、特定の栄養素が不足する新型栄養失調という問題を抱えています」

 ビタミン、ミネラル、物繊維などの体内の環境を整える成分が慢性的に足りていない状態なのだという。過剰にとりすぎているものは引き算して、不足しがちな栄養を補う意識を持つことが重要だ。

 他には材の調理法も健康に影響すると牧田先生。

「揚げ物や焼き物にはどうしてもAGEが発生してしまいますから、肉や魚などは刺身にしたり、ゆでるか蒸してさっぱりべるのがおすすめです」

 毎日の献立を考える際の基本として、覚えておきたい。

命のプロが積極的にべている「健康材」
★発酵品(みそ・ヨーグルト・納豆など)
→さまざまな発酵品をべることで、善玉菌の種類も増えて腸内がキレイに。

物繊維(海藻類・根菜類など)
物繊維を1日25g~29gとると、さまざまな健康リスクの減少効果が得られる

★MCT(中鎖脂肪酸)オイル
→体内でのエネルギー変換効率が良く、身体がぽかぽかになってダイエットにも効果的。

★青魚(ぶり、さんま、さばなど)
→EPA、DHAが豊富な青魚を1日に85g~170gべると、心筋梗塞のリスクが低下。

★お酢
→悪玉菌を減らし、内臓脂肪の燃焼や血圧上昇の抑制にも効果アリ。

お話しを伺ったのは……

牧田善二医師●AGE牧田クリニック院長。糖尿病、生活習慣病、肥満治療の専門医で延べ2万人以上の患者を診ている。著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)など。

青木竜弥医師●銀座予防医療クリニック院長、一般社団法人国際予防医療協会代表理事。論文・文献から収集した最新医学を親しみやすく紹介。YouTubeにて「Dr.青木竜弥の健康授業」を運営中。

石原新菜医師●イシハラクリニック副院長、ヒポクラティック・サナトリウム副施設長、健康ソムリエ理事、ロングライフラボ理事。診療のかたわら、テレビ・ラジオ、雑誌などのメディアでも活躍中。

歌島大輔医師●整形外科医。「エビデンスをわかりやすく」をモットーに情報発信。YouTubeチャンネル「整形外科医 歌島大輔」は登録者数10万人超え。本記事の解説動画も配信中。

圓尾和紀管理栄養士●病院勤務を経てフリーランスとして独立。YouTubeチャンネル「カラダヨロコブ」は登録者14・9万人。著書に『体と心の不調が消えていく ゆる食事術』(マイナビ出版)など。

船山信次薬剤師●薬剤師・薬学博士。日本薬科大学教授などを経て、現在、日本薬史学会副会長・日本薬科大学客員教授。著書に『毒と薬の世界史』(中央公論新社)など。

(取材・文/オフィス三銃士)