新世代YouTuberのキーワードは「関係性・絆」

 すのはら氏とたけち氏は、平フラやコムドット新世代YouTuberを語るうえで最も重要なキーワードが“関係性”であると話す。

「視聴者にとって平フラとコムドットのコラボはクラスの“仲の良さそうな男子・女子”を見ている感覚に近いのかな、と思います。新世代といわれるYouTuberの特徴は、企画内容でファンをつけるというよりかは、グループとしての親近感や関係性の“尊さ”でファンをつけているのが特徴です。両グループとも幼馴染という関係性があり、視聴者も“クラスの人気者のわちゃわちゃ”を見ていると錯覚する。それを楽しんだり嫉妬したり噂したり、と親近感を持って楽しんでいるのだと思いますね」(すのはら)

 たけち氏も続ける。

「男性同士のアツい友情を意味する、『ブロマンス』という言葉が近年盛り上がっています。恋愛感情ではなく、男性同士の親密な繋がりを指す言葉で、近年、お笑い芸人を描いたドラマなどが増えているのもこうした感情に“萌える”人が多いからだと思います。コムドットが人気となった理由にも、地元の友達という強い結びつきがあり、その絆に対して羨望や推したい、という感情で絶大な支持を得ていると思います。

『ブロマンス』の対義語には、女性同士の絆や相棒的な関係を意味する『ロマンシス』という言葉があり、それが平フラの関係性に当てはまります。ファンによる平フラの切り抜き動画に『シンクロ集』という人気のまとめコンテンツがあります。NICOとRIHOがちょうど同じ言葉を同時に発している瞬間を集めたもので、そうした仲良しの幼馴染だからこそ起こる共鳴の現象にファンは尊さと憧れを感じています」(たけち)

”公認”切り抜き師による「シンクロ集」

 もちろんふたりも常に最高潮に仲が良いというわけではない。時にはモメることもあるが、それすらコンテンツになるのが彼女たちの強みだ。動画投稿を一時的に休んだ理由を「2週間ほどケンカをしていたから」と告白する《最近動画を投稿していなかった理由》といった動画では、ケンカ中のふたりが同じ画角に収まり本音を吐露しつつ、ビジネスの関係ではないため「本当に仲良しにならないと動画が撮れない」と漏らした。正直な想いは反響を呼び、490万回再生されている。

概要欄には「正直に言います。バチバチにケンカをしていました」と書かれているが、「仲が良いからこそぶつかり合う」とも

 YouTuberという関係性以前に親しい友達同士であることが伺え、視聴者に親近感を抱かせた。これまでのYouTuberの歴史を見てもグループYouTuberは男性同士が多く、女性のグループは男性人気も狙って動画を投稿している傾向にあった。女性2人組のユニットで同性にここまで支持を得たケースは今までいなかったのではないか、とたけちは話す。