人に元気を届けることが自分の仕事

「前に、すごく後悔したことがあって」と、清水さんは過去のライブでの経験を語る。

 あるネタ作りのとき。どうすれば笑いを誘えるか頭をしぼり、脚本の修正とリハーサルを繰り返していた。しかし、ネタが仕上がってみたら「さほど面白くないのでは」という考えが頭をよぎったのだという。

 そんな意識がありながら、「せっかくこんなに苦労したんだから……」と、上演。しかしそのネタは予想どおり、ウケずじまいだった。

「その失敗のおかげで、『独り善がりのこだわりをチマチマ持つのはやめなきゃ』『自分の努力を美化してはいけないのだな』などと気づけたんです」

 子どものころから、「周囲から自然と認めてもらえたことを大切にしよう」という意識が強かった。そのため、自己満足が先行して、スベってしまったときの後悔はひときわ大きいのだという。

「私の子ども時代、『努力は必ず報われる』『明日を信じて』といった偽善的な言葉が流行っていた。でも、それって本質じゃない。力を抜いたほうが生きやすいし、どうせ世界は厳しいのだから、私は厳しい言葉のほうが尊いと感じます」

 シビアで地に足のついた哲学を持つ清水さんだが、芸風はいつもコミカルで楽しげ。その源も、やはり多くの人に受け入れられる喜びにある。

「これは糸井重里さんの言葉なんですけど、商売の目的というのは一見お金のようでも実際は自分が人に喜んでもらえること。

 そのうれしさは、結果自分に何倍にもなって返ってくるんですよね。エネルギーが欲しいときは、本や映画に触れるよりも、元気な人に直接会うのが一番効果的。

 だからライブをやるときは、『絶対にお客さんを元気にして帰すぞ』という意識でいます。やっぱり、人に元気を届けることが私の仕事だから」

「ウケる」とは「受け入れられること」だと語る清水さん。

 その喜びに味をしめてしまったからこそ、ライブはやめられないのだという。