褒めてもらうことの少ない中年にすすめる「ノート」

 誰しも、悪い言葉には取りつかれやすい。もし10人中9人が褒めてくれても、1人が悪口を言っていたら、影響されてしまうのが人の性だ。

 しかしそのなかで、清水さんは人から言われてうれしかった褒め言葉や、日々のなかで「深いな」と感じた言葉をノートに書いておく習慣を20歳ごろから続けている。

「今はだいぶ図太くなれたけど、若いころはかなりメンタルが華奢でした。そんなときは、お風呂に入ったり、カラオケに行くなどの『実際のアクション』に移して発散させていたんです。ノートを書くのもその一環でしたね」

 人の記憶は、良い経験や言葉をすぐに削除してしまうところがあると清水さんは言う。そうしたネガティブさに負けないためには、行動の積み重ねによって脳のスイッチを機械的に切り替えてしまえばいいのだ。

「大切にしたい自分の長所や、気に入った言葉を文字に起こして、ノートに残しておけば『自分の人生も案外、悪くないぞ』っていう一冊の証拠になる。

 そして落ち込んだときはそれをパラパラめくるようにすれば結構励まされます。これまでも自分の書きためた文字によく救われました」

 また、清水さんに言わせれば、「平気なフリをする」のも一種のモノマネ芸。イメージとしては、「なりたい自分の着ぐるみを着ている」ように振る舞うと、自信がつくことも大いにあるという。

「私の夫の体験談ですが、昔、着ぐるみのバイトをしたら、人の視線が全然気にならないから、自分でも驚くほど気が大きくなり、大胆に振る舞えたんだそうです。一枚仮面をかぶると、そういう効果が得られるんだと思います」

 人前では、理想を演じる仮面をかぶったモノマネキャラで構わない。でも1人のときは、落ち込んだ自分のために元気のタネを準備しておく。そんな適度な逃げグセを持って自分らしく生きるのがいい。

「常に『面白いほうが勝ちだ』という意識があります。自分だけの笑いではなく、“みんなの笑い”になることが私にとっての要です」飄々と力強く、清水さんは語った。