女性がのみ続けると危険な薬《6選》

《1》ホルモン剤

 女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンを補充してホルモンバランスを整え、更年期障害の症状を緩和する薬。乳がんの発症リスクがあり、英国の研究では使用期間が4年未満の場合、未使用者に比べて1.74倍だが、5~9年になると2.17倍に跳ね上がると報告されている。

《2》排卵誘発剤

 薬による刺激で卵巣が膨れ上がり、下腹部に違和感を感じる卵巣過剰刺激症候群を引き起こすことも。ひどくなるとお腹や胸に水がたまったり、腎不全や血栓症などの合併症のリスクも。

《3》低用量ピル

 月経前症候群、月経過多、子宮内膜症、卵巣がんなどの予防・治療に効果的。しかし血液が固まりやすく血栓症を引き起こすリスクがある。吐き気やむくみ、乳房の張り、不正出血など多くの副作用も。

《4》睡眠薬

 ベンゾジアゼピン系の睡眠薬には強い依存性があり、急にやめると不眠のぶり返し、動悸、発汗、息苦しさ、不安感、パニックを起こす。ふらつきや転倒、認知機能の低下といった副作用もある。

《5》痛み止め

 NSAIDs系の解熱鎮痛剤は消化器への負担が大きく、胃炎、胃潰瘍、出血性胃潰瘍、十二指腸潰瘍のリスクを高める。乱用すると薬物乱用頭痛を引き起こす。

《6》過活動膀胱の薬

 尿がたまりきらないうちに膀胱の筋肉が勝手に収縮して尿意を催したり、失禁したりする病気。治療薬のムスカリン受容体拮抗薬は、尿が出にくくなる、のどの渇き、便秘といった副作用がある。

医師と相談しながら断薬する努力を

「そもそも、どんな薬でものめば胃腸は荒れやすくなり、薬の代謝や排泄を行う肝臓、腎臓にも大きな負担がかかります。長期間のみ続ければ身体に思わぬ影響が及ぶことも想像に難くありません」

 とはいえ、極端に薬を怖がってのまないのも危険、と寺田医師。

お話を伺った寺田武史医師
お話を伺った寺田武史医師
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「医療機関は基本的に、必要な薬しか処方しません。自己判断で薬をやめれば、病気が悪化して命に関わることも。基本は医師の指示に従ってください。大切なのは声に出す勇気。薬を減らしたければ、主治医に減薬・断薬したいと勇気を持って伝えましょう。

 そして薬をやめるための努力も必要。免疫力や自律神経に関わる腸内環境を整えたり、運動習慣や食生活を改善したりするなど、健康維持のための努力は不可欠です」

 女性にはさまざまな症状や病気があり、一生かけて薬と付き合うことも多い。大切なのは薬を怖がることではなく、薬を賢く使いこなす知識を持つこと。

 漫然とのみ続けるのではなく、自分の身体を管理する意識を持って疑問点や改善点は医師に積極的に聞き、減薬・断薬を目指してできることから実践したい。

教えてくれたのは……

寺田武史医師
アクアメディカルクリニック院長。精力的に情報を発信し、著書『なぜ、人は病気になるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)が発売中。

取材・文/井上真規子