平安女学院 中高校舎
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 門出の日に、理事長の無神経な言葉によって、心に深い傷を負わされたという。

「山岡理事長には、取り返しのつかない発言をしたという自覚すらもないでしょう。今まで何人もの教職員が、理事長の理不尽な言動によって辞めていきました」

 経営コンサルタントなどをしていた山岡理事長は、80億円にのぼる債務があった平女を立て直すため、2003年にその手腕を買われ同校の理事長に就任。人件費カットなどの施策を講じ、学校経営を立て直した。

経営を立て直したというものの…

「立て直したと言っても、賃金の大幅な引き下げが前提でした……。教職員は平均30%の賃金カットをされました。私は約800万円あった年収が、480万円に引き下げられました。50歳以上の教職員は一律、480万円になったのです。それでも私たちは、まだいいほう。若い教職員は、本当に少ない給料しかもらっていない。そして、下げられた賃金は、それからほとんど上がっていないというのが現状です」

 裁判では、賃金に関する訴えをした教職員がいる。

「昇給に関する規定がなく、給与はすべて山岡理事長が決定します。新卒で入っても、5年、10年もそのままの給料という人が何人もいます。残業代を含む手当ても一切つきません。訴えても拒否されました。理事長は“この金額でも働くヤツはいくらでもいる”“辞めたいなら辞めろ”と言っていました」

 2021年8月に労働基準監督署の指導が入り、改善されるかと思いきや、

「労基署は、労働時間や残業代に関する指導だけで、一部の残業代などが支給されるようになっただけ。それも事前申告という形のみです。山岡理事長は自分を守るためか、少しは昇給するようになったのですが、それも雀の涙。

 理事長に意見をした教職員は、人事評価を行う面談すらせずに最低評価をつけて、給与を決めることも。このほかに教育予算も大幅に引き下げられました。これによりクラブ活動では、新しい備品が買えず、必要な備品は外部からもらうか、自腹で購入する教職員もいます。

 賃金が低くとも、生徒が可愛くて学校に残り、生徒が不自由をしないようにする、教職員たちの涙ぐましい努力があるのです」