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ー 警察呼ばれたくないなら160万円、払え
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ー 金に困っていたのかもしれない

 JR柏駅から1キロメートル以上離れた路上。2021年8月31日午前1時すぎのことだ。

警察呼ばれたくないなら160万円、払え

 ハンドルを握る男性は、初めて一緒に酒を飲んだ美女を乗せて走っていた。飲酒運転だった。赤信号で停車すると、うしろの原チャリから男が降りてきて「追突させてしまった」と告げ、事故処理のために警察を呼ぼうとする。

 男性がそれを拒むと、

「酒でも飲んでるのか。お前が警察を呼んで欲しくないってことだろ。バイクの修理代払えるのか」

 などと態度を豹変。男性はいっぺんに酔いが覚めたに違いない。

「被害男性は千葉県警の現職警察官A(当時20)だった。Aは飲酒運転がバレると大ごとになるため身内である警察を呼ぶわけにはいかず、その弱みに徹底的につけ込まれたかたち。恐喝事件の被害者とはいえ警察官としてあるまじき裏切り行為に、まじめに日々の職務に取り組む同僚警察官は激怒しており、Aは事件発覚後、処分を受けて依願退職した」(全国紙社会部記者)

 飲酒運転につけ込んで警察官から現金160万円を脅し取ったとして千葉県警は1月11日、同県柏市の特定危険指定暴力団五代目工藤會傘下組織組員・荒井幹太容疑者(22)、同県松戸市の自称建設作業員・渡邉晴斗容疑者(22)ら5人を恐喝の疑いで逮捕したと発表した。県警は5人の認否を明らかにしていない。

 うち唯一の女性である柏市の自称風俗店従業員・山口稚夏容疑者(24)こそが、被害男性と一緒に酒を飲み車に同乗していた美女だった。

「犯行の役割分担や首謀者などについては捜査中。荒井容疑者とほかの4人はかねてからの知人にあたるが、相互に知り合いだったかなど詳細な関係性は捜査しているところ。山口容疑者は被害者とマッチングアプリで知り合い、前夜から酒席をともにして車に同乗していた。追突したと申し立てた容疑者のひとりと山口容疑者以外は、発生後に犯行に加わっている。どこからどこまで計画性があったのかなど経緯を詳しく調べている」(捜査関係者)

 県警捜査4課によると、5人は共謀して追突を申し立てた直後の午前1時35分ごろから午後7時半ごろまでの間、コンビニに立ち寄って金を引き出させるなどいくつかの場所で複数回に分けて160万円を脅し取っている。原付きバイクの損傷程度やそもそも本当に追突事故を起こしていたのかなど事故の詳細を捜査中という。